ロマン・ロラン伝
1866-1944
ROMAIN ROLLAND

判型 | A5判 |
---|---|
頁数 | 504頁 |
定価 | 10,450円 (本体:9,500円) |
ISBN | 978-4-622-07613-1 |
Cコード | C0098 |
発行日 | 2012年1月10日 |

ROMAIN ROLLAND
判型 | A5判 |
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頁数 | 504頁 |
定価 | 10,450円 (本体:9,500円) |
ISBN | 978-4-622-07613-1 |
Cコード | C0098 |
発行日 | 2012年1月10日 |
〈1944年12月30日、ロマン・ロランは死去した。さまざまな理由があってのことだが、彼の人と作品も、あいかわらず論争の的、ひいては先入見の標的となっている。彼は1914年に《戦いを超えて》——憎しみを超えて——という呼びかけを発した人であり、そして生涯をつうじて、人間への信頼の念を失った人たちにそれを取り戻させようと願った人である。もうそろそろ、この人に平静なまなざしを向けてもよい時ではなかろうか〉(まえがき)
1866年から1944年、ロランはまさに〈大いなる歴史〉の時代を生きた。二つの世界大戦、ソヴィエト・ロシアの誕生、経済恐慌、ファシズムの脅威の時代であった。〈歴史〉の渦中にあって、『ジャン-クリストフ』をはじめとする小説を通して、数々の戯曲や評論、政治的著作、またロランが人間のひとつの範と考えていたベートーヴェンなどの伝記的作品によって、さらには膨大な書簡を発信しながら、ロランは人類の自由を求めて時代とわたり合った。それは純潔にして孤高なる精神の事業といえるものであったのだろうか。
20世紀前半の文学・芸術・思想・政治に多大な影響を与えたロマン・ロランとは誰だったのか。本書は、ロラン研究の第一人者が未公刊の日記・書簡・資料も用いて書きあげ、従来の認識を一新させた画期的評伝である。原題のとおり、主にロラン自身の言葉を通して構成され、「あるがままのロラン」を提示するものである。《精神の独立》を論じたロランが晩年になぜ「スターリン下のモスクワの従僕」といわれるようになったのか。公平な手法で描かれた本書は、2002年のピエール-ジョルジュ・カステックス賞(フランス学士院倫理・政治学アカデミーの文学賞)を受賞した。
まえがき
略号表
第一章 自己をわがものに 1866-1892年
1 《かわいそうに、この子は無邪気だけれど、精神的エネルギーが足りなくて》
2 《わが若き日の暴風》
3 《われわれはだれもが〈神〉である》
4 《〈永遠〉への信念はじつに確固として》
第二章 試練 1892-1901年
1 《静かな優しさ》
2 《ぼくらの哀れな結婚記念日》
3 《わたしの魂の物語ではありますが、わたしより偉大なものとして移しかえて……》
4 《辿るべき道を前にして、わたしは悲痛なまでにためらっています》
5 《いまや仲違いは決定的です》
6 《ソフィアの親しい共感》
第三章 新生 1901-1914年
1 《歓喜の発作》
2 《こんどこそ、いよいよぼくの長編小説を書きだす》
3 《新ヨーロッパを樹立する》
4 《現在の生活に、あまりに強く絡めとられてしまった》
5 《争乱のなかにあって、わたしの理性を明るく、また自由なままに保つ》
6 《わたしの新しい魂》
第四章 〈戦いを超えて〉 1914-1919年
1 《荒々しい精神的揺さぶり》
2 《わたしにはもはや、世界のほかに祖国はない》
3 《新しい人間性》
4 《わたしたちはわが内面に宿る永遠なるものに従わなくてはならない》
5 《悲しみがあまりに深く》
6 《〈精神〉の自由〈都市〉》
第五章 〈精神の独立〉 1919-1926年
1 《まわりでは、なにもかもがむやみにざわめいている》
2 《けっして、わたしは独裁の前に屈したりはしない》
3 《わたしの大切な務めは本来的に宗教的なのです》
4 《内面世界》
5 《〈精神〉にとっては、いかなる妥協もありえようがない》
6 《〈精神〉の永遠の本質》
第六章 〈精神は列中に戻らなくてはならない〉 1927-1937年
1 《ロシアは危機に瀕している》
2 《わたしたちの内なるもっとも永遠なもの》
3 《〈革命〉と闘うべきか、それとも擁護すべきか》
4 《いとしいマーシャ》
5 《過去への訣別》
6 《行動する大洋》
7 《たった一日の休息も残してもらえません》
8 《しかし、わたしがまちがっていて、フォーティンブラスが正しい》
9 《わたしにはいまになって、多くのことがはっきりしてきた……》
第七章 ヴェズレー 1937-1944年
1 《わたしが擁護しているのは、スターリンではなくてソ連なのだ》
2 《大いなる〈幻影〉の最終局面は閉ざされた》
3 《わたしはとうとう蟻塚の熱を病んだざわめきから離れ去る》
4 《謙虚さだね、すべてはそこにある》
5 《永遠のことども》
6 《わたしたちの魂はすでに時間の外へ出ているのです》
7 《この一切れはなかなか大きいから、彼らの喉を通るものですか》
エピローグ 〈存在〉か〈無〉か
謝辞
訳者あとがき
文献目録
ロマン・ロラン作品名索引
固有名詞索引