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オットー・クレンペラー

あるユダヤ系ドイツ人の音楽家人生

OTTO KLEMPERER

Ein deutsch-judisches Kunstlerleben


2010年にドイツで著された初の伝記。今までの偏った伝記記述を是正し、新たなクレンペラー像を提起する力作である。資料を博捜し、存在の矛盾のあいだから漂い出る創造の内幕と、その魅力に迫る。
同時代の音楽を真摯に捉えつつ、敢然と己の創造の道を突き進んだ大指揮者の軌跡。生い立ちから修業の日々、怒濤のケルン時代、アメリカ亡命期間を経て欧州での晩年まで、その波瀾万丈の音楽家人生を亡命以前の時期に重点を置いて詳述する。
書簡や同時代人の証言、新聞雑誌の記事や批評など、膨大な資料に基づく決定版。芸術家崇拝の態度を排し、引き裂かれ錯綜した人物像に迫っている。
伝説の大指揮者の生涯が丁寧に描かれており、クレンペラー音楽鑑賞の手引としても最適のものとなっている。日本語版オリジナルの全活動期にわたるディスコグラフィ(25頁)を付す。


目次




1 「わたしがユダヤ人だからだ」
生涯二度の改宗の経緯/プラハのゲットー(ユダヤ教徒街)出身の父、その家系と歴史・社会背景/両親の出会いと結婚/ブレスラウにおける出生/ハンブルクのユダヤ教徒の母とその家系/ハンブルクへの転居/ハンブルクの少年時代、そして母の偏愛と期待/ハンブルク・ユダヤ教徒の世界/強まるハンブルクの反ユダヤ主義

2 帝政時代の修業の日々
母の遠縁パウル・レーとニーチェの関係、そしてクレンペラーのフランクフルト・ホーホ音楽院入学との関連/当時のフランクフルト/音楽院の師や同級生/ベルリン転学/当時のベルリン/ベルリンの名医、従兄ゲオルク/のちの文学者の従兄ヴィクトアのオットーに対する嫉妬/ピアニストの道の断念/プフィッツナーとの出会い/ブゾーニとの出会いとモダニズム音楽に対する目覚め/マーラーとの出会い/マックス・ラインハルトの下での本格的指揮活動の開始/プラハ・ドイツ劇場の指揮者になった経緯

3 「心底つらい気分の不調…」
オーストリア=ハンガリー帝国と首都ヴィーンの状況/多民族都市プラハの状況(ドイツ人、チェコ人、キリスト教徒、ユダヤ教徒)/ドイツ人とチェコ人の民族対立/プラハ・ドイツ劇場と監督アンジェロ・ノイマン/ドイツ劇場におけるクレンペラーの活動/ドイツ劇場の楽員ストライキ騒動/マーラー回想/鬱病の発病/姉のユダヤ学者との結婚/母のノイマンに対する敵意/ノイマンとの決別/プラハを離れてハンブルクのオペラ座へ

4 夢のなかで飛ぶように
従兄ゲオルクの貧民医療活動/躁病状態のオットー/ユダヤ教離教/ハンブルクとハンブルク・オペラ座の状況/オペラ座の第一楽長ブレッヒャーや新進歌手ロッテ・レーマン、そしてカルーソーとの共演/鬱病の再発と活動休止/初のサナトリウム滞在/サナトリウムの環境/院長コーンシュタムとその影響

5 父たち、母たち、そして愛する神
サナトリウム退院/シュトラースブルク(ストラスブール)での療養/スイスの田舎でのオペラ観劇とその影響/シェーンベルクとの出会い/リヒャルト・シュトラウスとの出会い/マーラー未亡人アルマとの出会い/ハンブルクのオペラ座に復帰/同僚のソプラノ歌手エリーザベト・シューマンとの駆け落ちとその顛末/ハンブルクのオペラ座と離れ、バルメンの指揮者に

6 大事件のなかの道化
ルール工業地帯、工場の街バルメン(現ヴッパータール)/バルメンと隣町エルバーフェルトのライバル意識/シュトラースブルク(ストラスブール)のオペラ座へ/独仏文化が交わるエルザス(アルザス)とその中心都市シュトラースブルクの特殊事情/第一次世界大戦と戦時下の窮乏/躁鬱病の再発とサナトリウム滞在/劇作家シュテルンハイムとの出会い/療養中の作曲の試み/ケルンのオペラ座の指揮者に

7 「ドイツ的キリスト教精神」
妻となるソプラノ歌手ヨハナ・ガイスラーの人生行路/第一次大戦末期のケルンの状況(窮乏、飢餓、スペイン風邪の流行、英軍のケルン空襲)/当時のケルン・オペラ座の状況/ケルンのもうひとりの指揮者アーベントロートとの確執/ブゾーニとプフィッツナーの音楽美学論争/クレンペラーによるヤナーチェク《イェヌーファ》ドイツ初演/英軍のケルン進駐

8 「みんな、笑ってごらん!」
ブゾーニのオペラ上演/第一次大戦後のケルン・モダニズムの興隆(マックス・エルンスト、画商ニーレンドルフ…)/ケルンの新文化組織「芸術協会」とクレンペラー/ケルンにおける反ユダヤ主義や反民主主義/オペラ座演奏会の開始/カトリックへの改宗/哲学者マックス・シェーラーの影響/修道院滞在と《ミサ曲》の作曲/ヨハナ・ガイスラーとの結婚/プフィッツナーのブゾーニ再攻撃とそれをめぐる激しい論争/プフィッツナーのオペラ上演によるブゾーニとの疎遠化

9 ミサ曲とファシスト讃歌
シェーンベルクやシュレーカーなどの作品の紹介/妻ヨハナの歌手活動や家庭生活/クレンペラーのべートーヴェン演奏/ケルンにおける交友や演奏旅行/第一次大戦後のケルンの復興/同時代音楽の中心地となったケルンの意味/親友となるパウル・デッサウとの関係/自作《ミサ曲》の初演とその評価/アーベントロートとの抗争の激化/ムッソリーニ政権に対する無批判な態度/連合軍のラインラント占領と混乱/ケルン離任の?末

10 新しい未来像
ヴィースバーデンへの転職/郊外の田園生活/舞台美術家デュルベルクとの斬新な《フィデリオ》上演/国際的保養都市ヴィースバーデンの風土と体質/初のソヴィエト客演の模様/トロツキー会見/モスクワ児童劇場のナターリヤ・サーツとの出会い/ふたたび顔を出す躁鬱病/初のアメリカ客演

11 「彼のやっていることは正しい…」
ベルリンの新設歌劇場クロル・オペラの監督に/当時のベルリンの混乱した状況/クロル・オペラ設立の経緯と複雑な事情/オペラ改革の夢/ヤナーチェクの来訪/新即物主義的な演奏と革新的な舞台/哲学者ブロッホとの友情のはじまり/独善的行動に対する批判/ストラヴィンスキー+コクトーの《エディプス王》初演/躁鬱病の再発と辞任の希望

12 「理想は殺せない」
クロルに慰留される/ハウアーの「十二音音楽」の紹介/ヒンデミット上演による右翼からの攻撃/クルト・ヴァイルの音楽に対する留保/ヴァーグナーの《さまよえるオランダ人》上演をめぐるスキャンダル/右翼・保守派からの激しい攻撃/危ぶまれるクロル・オペラの存続とそれをめぐる激しい論争/クロル・オペラの閉鎖

第二の人生
妻ヨハナとの夫婦の危機/ロシア人女学生との浮気/ヒトラーの政権掌握/ドイツ脱出とその経緯/ヴィーンでの一時的活動/ロサンジェルスでの活動と生活/ロサンジェルスの亡命者社会/ドイツ領事の監視/脳腫瘍の手術と指揮者解任/肉体的・精神的危機/恋人マリーア・シャコーの回想/病院からの脱走とその顛末/第二次大戦直後のブダペスト歌劇場での活動/チューリヒ移住/ロンドンのフィルハーモニア管弦楽団との活動/妻ヨハナの死/娘ロッテのクレンペラーへの献身/クレンペラー晩年の手紙からの抜粋(ココシュカ、ギュンター・グラス、デッサウ宛てのものなど)/死

オットー・クレンペラーの同時代人の証言
作曲家エルンスト・クルシェネク/アーノルト・シェーンベルク/従兄の文学者ヴィクトア・クレンペラー/娘ロッテ/ヴァーグナーの孫娘フリーデリント/指揮者ホーレンシュタイン/舞台美術家ゲオルク・アイスラー(ハンス・アイスラーの息子)/指揮者クーベリック/哲学者エルンスト・ブロッホ/作曲家パウル・デッサウ/ブダペスト時代の助手ミコー・アンドラーシュほかの回想、手紙、日記、いくつかの新聞記事

謝辞
訳者あとがき
ディスコグラフィ
原註
文献
人名索引


著訳者略歴

エーファ・ヴァイスヴァイラー
Eva Weissweiler

著作家。1951年ドイツ西部のメンヒェングラトバハ生まれ。ケルン在住。ボン大学で音楽学、ドイツ文学を学び、1976年同大学で博士号を取得。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
明石政紀
あかし・まさのり

著述家。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

樋口隆一(明治学院大学教授)
<日本経済新聞 2011年10月23日(日)>
喜多尾道冬<レコード芸術 2012年1月号>

関連リンク

この本の関連書


「オットー・クレンペラー」の画像:

オットー・クレンペラー

「オットー・クレンペラー」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/328頁
定価 5,060円(本体4,600円)
ISBN 978-4-622-07629-2 C0073
2011年9月21日発行

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