みすず書房

目立たぬものの精神病理

PSHYCHOPATHOLOGIE DES UNSCHEINBAREN

判型 四六判
頁数 400頁
定価 5,280円 (本体:4,800円)
ISBN 978-4-622-07663-6
Cコード C3011
発行日 2012年9月24日
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目立たぬものの精神病理

主著『自明性の喪失』などで、人間学的精神医学、哲学と精神療法における理論と実践に大きな業績を残したブランケンブルクの、死後に編まれた論文集。心身問題、妄想の現存在分析、精神医学における弁証法的考察などをテーマに、代表的な論文10編を集める。
「精神科医は、医者としてつねに人間的実存の全体と関わりをもつ。この全体は、尋常ならざるほど複雑なものであり、したがって科学的なアプローチがひたすら困難なものである。しかし、科学的にそれに近づきたいという欲求を退けることはできない。〈科学的な〉手法をとるということはつまり、出会いにさらに思考を参加させることにほかならない」(本書より)。
「われわれは今後もブランケンブルクを読む努力を惜しんではならない。そこには精神病理学の今後の展開へ向けての、無尽蔵の宝が隠されている」(木村敏『関係としての自己』より)。

目次

まえがき
序説
〔1〕 あるテーマが妄想へと独り歩きをすること
〔2〕 妄想の人間学的・現存在分析的な見方
〔3〕 コモン・センスの精神病理学への手がかり
〔4〕 「人間学的均衡」という考えについての基本的なこと
〔5〕 精神医学的な対話のもつ誘発的要因について
〔6〕 精神医学における弁証法的な見方はどれほどの射程をもつか
〔7〕 患者の「苦の重圧」が精神療法と精神病理学にとって意味するもの
〔8〕 精神医学における身体[ケルパー]と身体[ライプ]
〔9〕 未来完了パースペクティヴ──患者の人生歴を解明するにあたってのその意味
〔10〕 精神医学的観点から見た現存在の時熟

訳者あとがき
文献表
略歴と業績
初出一覧

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