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親切な進化生物学者

ジョージ・プライスと利他行動の対価

THE PRICE OF ALTRUISM

George Price and the Research for the Origins of Kindness


熾烈な生存競争と淘汰のもとで、なぜ他者を利する行動が生じたのか? 本書は哲学的テーマをはらんだ重厚な科学ノンフィクションであり、その謎を追い求めた末にホームレスとして死んだ異端の科学者ジョージ・プライスの驚愕の伝記でもある。
第I部では、メイナード・スミス、フィッシャーら巨星たちが織りなす波乱の科学史をたどる。利他行動も結局、自己の利益のために生じるのか、それとも自己を含む「群」のために? 進化の理解が深まるたび、科学はこの問いに直面する。一方マンハッタン計画の脇役だったプライスは、数奇な経緯と動機に導かれ、冷戦時代のあらゆる科学的革新に立ち会っていた。それが進化生物学のブレイクスルーを準備する。
第II部は進化学史と伝記が合流するところから始まる。プライスが導いた淘汰の方程式は、利他行動の理論に待望の普遍的定式を与え、「多層レベル淘汰」という大きなダイナミクスをも見渡すものだった。彼の報われない模索のすべてが、天啓のように一点に結実した瞬間。そのときすでにプライスは、純粋な「無私」の存在証明という究極の難題に向かって走り出していた。
最後は極端な宗教的献身、過激な利他主義にとりつかれ、すべてを失って自殺したプライス。彼の姿は、生身の人間である研究者自身と科学が提起する命題との〈相克〉を凄絶にものがたり、読む者を圧倒する。進化生物学の哲人ビル・ハミルトンとプライスの交流の記録も胸を打つ秀作。


目次


プロローグ
第I部
第一章 戦争か平和か
第二章 ニューヨーク
第三章 淘汰
第四章 放浪
第五章 友好的なヒトデと利己的なゲーム
第六章 奮戦
第七章 さまざまな解決策
第八章 容易な道はない
第II部
第九章 ロンドン
第一〇章 「偶然の一致による」回心
第一一章 「愛の」回心
第一二章 清算
第一三章 利他行動
第一四章 最後の日々
エピローグ

謝辞
訳者あとがき
付録
共分散と血縁淘汰/完全なプライスの方程式と淘汰のレベル/共分散とフィッシャーの基本定理
原注
索引


著訳者略歴

オレン・ハーマン
Oren Harman

バーイラン大学(イスラエル)大学院、科学・技術・社会研究部門主任教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
垂水雄二
たるみ・ゆうじ

1942年大阪に生まれる。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。出版社勤務をへて1999年よりフリージャーナリスト。著書に『悩ましい翻訳語』(八坂書房、2009)ほか。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

中島隆信(経済学者・慶應大教授)
<読売新聞 2012年1月22日(日)>
長谷川眞理子(総合研究大学院大学教授)
<日本経済新聞 2012年3月4日(日)>
<カルナ 2012年5月号>
中村桂子<毎日新聞 2012年1月29日(日)>
<WIRED  2012年夏号>

関連リンク

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親切な進化生物学者

「親切な進化生物学者」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/608頁
定価 4,620円(本体4,200円)
ISBN 978-4-622-07666-7 C0045
2011年12月20日発行

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