みすず書房

精神医療過疎の町から

最北のクリニックでみた人・町・医療

判型 四六判
頁数 208頁
定価 2,750円 (本体:2,500円)
ISBN 978-4-622-07670-4
Cコード C0011
発行日 2012年1月20日
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精神医療過疎の町から

2007年春、一人の精神科医が北海道名寄市でクリニックを開業した。日本最北の精神科クリニックである。名寄市を含む上川北部には、精神科の病院は市立病院しかない。人口7万人を超える上川北部は、精神医療が極端に手薄な「精神医療過疎の町」だったのである。
これまで主に東京のクリニックで診療をつづけてきた著者は、名寄での診察を通して、厳しい北国の現実を知る。膨大なうつ病患者、頻発する自殺、過疎による一人暮らしの高齢者の多さ、超少人数学級と子どもの発達障害……。著者がクリニックの診察室から目の当たりにしたのは、単に人口の減りゆく町の姿ではなく、精神医療や教育の機会も減りゆく町の姿だった。
クリニック開設時、著者はパンフレットにこう書いた。「全国並みの、あたりまえの精神医療を提供したい」—そんな著者の想いはどこまで届くのか。精神医療過疎の町に生きる人々の姿を描く、静かな怒りに満ちたエッセイ。

目次

名寄へ
ひとまず、自殺の減った町
「諦観」と「去勢」
精神科医が足りない?
子どもたちの姿
診断と教育現場
北国のうつ病点描
「統合失調症」を生きる
老人医療の世界
町が死ぬということ
震災と医者
過疎の町で生きる

とりあえずのエピローグ

書評情報

読売新聞
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2012年2月20日(日)
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毎日新聞2012年3月4日(日)
北海道新聞
2012年3月18日(日)
クレヨンハウス通信
2012年4月号
日本経済新聞
2012年2月19日(日)
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日経サイエンス2012年8月号
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2012年5月7日号

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