みすず書房

不平等について

経済学と統計が語る26の話

THE HAVES AND THE HAVE-NOTS

判型 四六判
頁数 240頁
定価 3,300円 (本体:3,000円)
ISBN 978-4-622-07691-9
Cコード C1033
発行日 2012年11月22日
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不平等について

史上最高のお金持ちはだれか? グローバリゼーションで世界は不平等になったのか? 現代のアメリカと古代ローマ帝国の所得格差はどれほど違うのか? などなど、数多くの思い込みを数字で覆し、精確に理解するための必修知識を与えてくれる一冊。

「あなたは世界の所得分布のどの辺りにいるのだろうか。J・オースティン『高慢と偏見』のダーシーや、アンナ・カレーニナはどうだろうか。アウグストゥスはビル・ゲイツよりも金持ちなのだろうか。中国が、ソヴィエトやユーゴスラヴィアのようにバラバラになるかもしれないのはなぜだろうか。所得と富の偏在になぜ注目すべきなのだろうか。著者は25年にわたって世界の不平等を研究してきた。本書は不平等の『アラビアン・ナイト』であり、歴史、文学、世界各地の事例が満載だ。持てる者にとっても、持たざる者にとっても、必読、発見の一冊」
アンガス・ディートン(プリンストン大学 経済学・国際関係学教授)

「全世界をまたにかけ、時間を越えて旅をする、楽しみ満載のこの本で、経済的不平等という深刻な主題について学んでみよう! 著者は数々の魅力的なお話を通して、所得と富の不平等——そして、その概念、計測、変化、生活における役割を、正確さを失わずに、バランスよく説明している。旅先にも持っていけるし、教室でも使える、とてもすばらしい一冊」
トマス・ポッゲ(イェール大学 哲学・国際関係学教授)

目次

第1章 不平等な人々——国家内の個人の不平等
社会の所得水準に応じて、不平等はどのように変化するのか
不平等は経済効率にどのような影響を及ぼすのか
不平等と経済的正義
不平等の測定

1-1 ロマンスと富
1-2 アンナ・カレーニナはアンナ・ヴロンスカヤになれたのか
1-3 史上最高のお金持ちは誰か
1-4 ローマ帝国はどれほど不平等だったのか
1-5 社会主義は平等主義だったのか
1-6 パリに住むなら、どの区に住む? 13世紀なら? 現代なら?
1-7 財政再分配で恩恵を受けるのは誰か
1-8 複数の国はひとつにまとまれるか
1-9 中国は2048年まで生きのびるか
1-10 2人の不平等研究者、ヴィルフレド・パレートとサイモン・クズネッツ

第2章 不平等な国々——世界の国家間の不平等

2-1 なぜ、マルクスは道を間違えたのか
2-2 今日の世界はいかに不平等か
2-3 「生まれ」は所得の決め手か
2-4 世界は要塞都市になるのか
2-5 ハラガとは何者か
2-6 オバマ家3代
2-7 脱グローバリゼーションで世界は不平等になったのか

第3章 不平等な世界——世界の市民の不平等
グローバリゼーションとグローバルな不平等
世界を背負うクジラたち
長時間かけて変容してきたグローバルな不平等
グローバルな不平等は問題なのか
グローバリゼーションのトリレンマ

3-1 あなたは世界の所得分布のどこにいるのか
3-2 世界に中間層は存在するか
3-3 アメリカ合衆国とEUの違いは何か
3-4 アジアとラテンアメリカが鏡像関係にある理由
3-5 試合が始まる前に、勝者を知るには
3-6 所得格差と世界金融危機
3-7 植民地支配者は搾取の限りを尽したのか
3-8 なぜ、ロールズはグローバルな不平等に無関心だったのか
3-9 グローバル経済と地政学

索引/原注/参考文献

書評情報

藤原裕之(日本リサーチ総合研究所主任研究員)
日本経済新聞2013年1月27日(日)
週刊東洋経済
2013年2月23日号

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