みすず書房

デモクラシーの生と死 上

THE LIFE AND DEATH OF DEMOCRACY

判型 A5判
頁数 512頁
定価 7,150円 (本体:6,500円)
ISBN 978-4-622-07743-5
Cコード C1031
発行日 2013年11月22日
備考 現在品切
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デモクラシーの生と死 上

「学識のガルガンチュア的偉業と言えよう」(『ガーディアン』)
「大いに感銘を受けた……恐るべき学問的成果だ」(ドミニク・サンドラブロック)

デモクラシーは古代ギリシアに誕生した、というのは本当か? デモクラシーの理念と制度は、いかにして今日の形になったのか? デモクラシーの隆盛が高らかに宣せられるかたわら、世界中のデモクラシー国家の先行きに不安を感じる人びとが急激に増えているのは、なぜか? 政党政治や議会制は機能しているか? 議会外運動や世論動向は、デモクラシーとどう関わっているのか? グローバルな経済体制・軍事体制は、デモクラシーにとってどんな意味を持つのか?
古代ギリシアに先立って「集会デモクラシー」を生み出していた東方の起源に始まり、ギリシアのデモクラシーの盛衰と、イスラム世界が灯し続けたデモクラシーの火をたどった本書は、「代表デモクラシー」の来し方を、ヨーロッパやアメリカ合衆国、さらにラテンアメリカを舞台に物語る。
記念碑的な「デモクラシーの世界史」たる本書が目ざすのは、デモクラシーをデモクラティックに語ることである。それゆえ、デモクラシーを欧米中心主義から脱却させ、普遍主義から解放し、そのヒュブリス(傲慢不遜)を払拭しようと腐心する。デモクラシーとは、謙虚な人びとの、謙虚な人びとによる、謙虚な人びとのための自己統治にほかならない。全2巻。

目次



日本の読者へ(ジョン・キーン)
『デモクラシーの生と死』を読むために(猪口孝)

いやな兆候、小さな夢
集会デモクラシー/代表デモクラシー/モニタリング・デモクラシー/いやな兆候

  第一部 集会デモクラシー

アテナイ
血なまぐさい発端/アゴラ——とその神々/ヒロインたち……/……そして中くらいのヒーローたち/ヒトの足をもつ動物たち/ひよこ豆と訴訟/プニュクスの丘/直接デモクラシー?/デーモクラティア……/……そして敵対者たち/ヒュブリス(傲慢)/デモクラシーの終わり

東より西へ
銀行家/対位法/「ご先祖のデモクラシー」/古代東方における集会/ビブロス/原始デモクラシー?/アヌ/シリア‐メソポタミアの遺産/砂漠の孤児/モスク/あらゆる支配者に従え?/ミルクとクリーム/諮問/メシュウェレット/ウルーバ

  第二部 代表デモクラシー

代表制統治について
この世の不思議/代表制統治?/アルフォンソ九世/議会の普及/トーク・ショップ?/さてデモクラシーは?/自然と代表制/自由の聖域/都市共和国/人民?/楯と味方/デモクラシーと十字架/陪審制/謙虚な修道士/教会会議/コンスタンツ/初めに言があった……/盟約/出版の権利/低地諸州における暴動/お金のために/王冠を戴く共和国/国王の文筥

アメリカの世紀
さなぎと蝶/酒と税と市民社会/騒乱罪/ジャクソン流デモクラシー/市民社会/貴族/剣を突きつけて/二つの人民/反奴隷制アピール/プロパガンティスト/タマニーの人材/マシーン政治/政党アレルギー/プログレッシヴィズム/デモクラシーのための道具作り/政府主導/幻影デモクラシー/無邪気さの帝国/最初のアメリカ人/購買力/優越の共和国

カウディジョ・デモクラシー
南方の同胞/カディス/海原を突き進む/カウディジョたち/デモクラティックな王たち/暗礁へと向かう潮流/赤い暴君/戦争と独裁/この国は…一度も投票したことがない/実験室/二重同時投票/カウディジョたちの復活

書評情報

宇野重規(政治学者・東京大学教授)
読売新聞2014年2月16日
大澤真幸(社会学者)
北海道新聞2014年4月6日
水野和夫(日本大学教授・経済学)
朝日新聞2014年2月2日
吉田徹(北海道大学准教授)
日本経済新聞2014年1月26日
信濃毎日新聞
2014年1月26日

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