みすず書房

映像の歴史哲学

判型 四六判
頁数 232頁
定価 3,080円 (本体:2,800円)
ISBN 978-4-622-07754-1
Cコード C0010
発行日 2013年6月25日
備考 現在品切
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映像の歴史哲学

〈歴史を問い、歴史を批判し、出来事の歴史を乗り越えたところにある深層の「歴史」の断面を、ほとんど神話化された歴史の形象を、その日常への不意の顕れを、ひたすら凝視すること。表象やイメージとして出現する「歴史」の揺らぐ実相を相手にした多木浩二の思想的実践は、その意味で、日々を生きる人間の個人的感情や記憶と、それらが実を結ぶためにはたらいている歴史的過程への深い考察とをともに一つの帆にはらんで進む、世界という荒れ狂う海への冒険航海の試みだったといえるだろう〉
(今福龍太「後記」より)

札幌大学での「映像文化論」講義を編集して、本書は成った。ここには著者の活動の軌跡と思考のすべてが鮮やかに凝縮されている。
子供時代に生まれて初めて見たリーフェンシュタールの映画『オリンピア』にはじまり、自身が関わった写真雑誌『プロヴォーク』を中心に、中平卓馬や東松照明と共に生きてきた時代のこと、マリネッティはじめ未来派の問題性、バルトやフーコーとの出会い、そして著者の思考の核にもなったヴァルター・ベンヤミンについて。20世紀という現在を歴史的現在として捉えようとする歴史哲学の試み。

目次

歴史の天使

第一章 ルプレザンタシオン──世界を探究する
第二章 反‐オーソリティー──あらゆる他者と出会う
第三章 ヒストリカル・フィールド——私たちが知を形成する以前
第四章 未来派——二〇世紀を考える
第五章 オリンピア——すべてが映像になるために作られた神話
第六章 クンスト——日常の技芸を守る

後記

書評情報

吉見俊哉(東京大学教授)
日本経済新聞2013年8月4日(日)
吉成秀夫
北海道新聞2013年9月1日(日)
京都新聞
2013年9月18日
信濃毎日新聞
2013年9月15日(日)

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