みすず書房

哲学は何を問うてきたか

判型 四六判
頁数 256頁
定価 4,620円 (本体:4,200円)
ISBN 978-4-622-07807-4
Cコード C1010
発行日 2014年1月24日
備考 現在品切
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哲学は何を問うてきたか

「私は、プラトンやデカルトやフッサールを「要約」しようとしているのではない。それは馬鹿げた野望だろう。私がしたいのは、大哲学者に取り組む上でそれぞれの思想に含まれる一つの考え方に集中することである。私は、それぞれの小論を読者に向けた質問、その哲学者の思想から浮上し、現在でも重要で間違いなく解決されていない問題で終わらせるようにする。」(序)

2009年にオックスフォードで没したコワコフスキは、20世紀の悲劇を生きた並はずれた頭脳の持ち主である。最晩年の彼は本書で、ソクラテスからトマス・アクィナス、ニーチェ、ハイデガー、ヤスパースまで30人の形而上学の核心を衝き、彼らの問いかけを強靭な精神で考え抜こうとした。善と悪、真実と美、信仰と魂、自由意志と意識……。その結果、ヨーロッパの哲学と神学をめぐる最高度の入門となっている。

「必読の書。上品で平易な文章によって永遠の問いに哲学を再接続する。」(ジョン・グレイ)「これほどまでの人物は思想界にほとんどいないだろう。」(「ザ・タイムズ」)
「バートランド・ラッセル以来最も尊敬されている哲学者」(「インディペンデント」)

目次

序——本書の目的

真理と善——われわれはなぜ悪を行うのか?  ソクラテス
存在と非存在——実在するものは何か?  エレアのパルメニデス
変化、衝突、調和——宇宙はどのように作動するのか?  エフェソスのヘラクレイトス
善と正義——真理の源は何か?  プラトン
徳と合理性——幸福とは何か?  アリストテレス
自然に従った人生——このような人生を送ると幸せになれるのか?  ヒエラポリスのエピクテトス
知識と信念——われわれは何かを知ることができるのか?  セクストス・エンペイリコス
神と人間——悪とは何か?  聖アウグスティヌス
神の必然性——神が存在しない可能性はあるのか?  聖アンセルムス
神秘主義と徳——なぜ罪ではないのか?  マイスター・エックハルト
知識、信仰、魂——世界は善きものか?  聖トマス・アクィナス
存在しているもの——観念は存在するのか?  オッカムのウィリアム
絶対者と世界——神には神の創造物が必要か?  クースのニコラス
神、世界、精神——どのようにすれば確実性を得られるのか?  ルネ・デカルト
神の本質——われわれは自由意志をもっているのか?  ベネディクト・スピノザ
神と世界——なぜ何も存在しないのではなく何かが存在しているのか?  ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ
信仰——どうして信じるべきなのか?  ブレーズ・パスカル
理性、平等、自由——神がわれわれに賦与した能力は何か?  ジョン・ロック
恐怖と宗教——最善の国家とはどのようなものか?  トマス・ホッブズ
知覚と因果——われわれは何を認識できるか?  デイヴィッド・ヒューム
理性、必然性、道徳——どうして知識が得られるのか?  イマヌエル・カント
歴史と絶対者——善悪なき進歩?  ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
世界、意志、性——われわれは自殺すべきなのか?  アルトゥル・ショーペンハウワー
神と信仰——教会は必要か?  セーレン・オービエ・キルケゴール
力への意志——善悪は存在するのか?  フリードリヒ・ニーチェ
意識と進化——人間の魂とは何か?  アンリ・ベルグソン
確実性の基盤——何を認識できるのか?どのように認識できるのか?  エドムント・フッサール
真理、存在、無——人間存在とは何か?  マルティン・ハイデガー
実存と超越者——苦難はわれわれを豊かにするのか?  カール・ヤスパース
〈一なるもの〉と創造——物質は悪か?  プロティノス

訳者あとがき

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