みすず書房

ヴェール

VOILES

判型 A5変型
頁数 208頁
定価 4,400円 (本体:4,000円)
ISBN 978-4-622-07811-1
Cコード C1010
発行日 2014年3月14日
備考 現在品切
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ヴェール

ともにアルジェリアに生まれ育ち、生涯の特別な友である二人が、ヴェールについて、自伝的・遺言的に応答を交わした。
まずシクスーが、短いテクスト「サヴォワール」で口火を切る。強度の近視の女が手術を受け、はじめて「目で世界に触れる」。奇蹟の瞬間に訪れたものとは何か。
続いてデリダが「サヴォワール」を受けて、卓抜した論を展開する。ブエノス・アイレス、サンティアゴ、サンパウロ……飛行機の中で、二人の人物がひたすら語り合う。ヴェールとタリートについて、技術と自然について、審判について、そして真理について。
鍵となるのが、テクストの表題である「蚕」だ。自らの分泌物で自らを隠し、変成を遂げるこの小さな虫は、伝統的真理概念に潜り込み、密やかに真理の糸を産出する。

〈その成熟はただ一回しか起こらないが、それがかつてそうであったところのものになるために、与えられた時間をすべて要求するだろう。私はけっして、あなた方にそれを物語ることはないだろう。〉

性的差異の論理を根本から書き換え、デリダの到達点を告げる、恐るべきエクリチュール。

目次

エレーヌ・シクスー
  サヴォワール
ジャック・デリダ
  蚕 他なるヴェールに刺さった(無)視点
  1 ブエノス・アイレスの方へ、1995年11月24日-11月29日
  2 チリ、サンティアゴ‐バルパライソ、1995年11月29日-12月4日
  3 サンパウロ 1995年12月4日-12月8日

訳注
訳者解説  「蚕」、あるいは、脱構築の告白(郷原佳以)