みすず書房

大脱出 電子書籍あり

健康、お金、格差の起原

THE GREAT ESCAPE

判型 四六判
頁数 376頁
定価 4,180円 (本体:3,800円)
ISBN 978-4-622-07870-8
Cコード C1033
発行日 2014年10月22日
電子書籍配信開始日 2015年11月1日
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大脱出

世界はより良くなっている——より豊かになり、より健康になり、平均寿命は延びている。しかしその反面、貧困という収容所から「大脱出」を果たせずに取り残された国や人々がいる。産業革命以来の経済成長は、大きな格差も生んだのだ。経済発展と貧しさの関係について最先端で研究を続けてきた著者が、250年前から現在までを歴史的にたどりながら、成長と健康の関係を丹念に分析することで、格差の背後にあるメカニズムを解き明かす。

「本書は、進歩と格差の間の終わりなきダンスについて記している。……単純に考えると、貧困からの脱出は金銭的な問題だと思いがちだ。だがお金と同じくらい、ひょっとするともっと重要なのかもしれないのが健康と、繁栄する機会を手に入れられるだけ長生きする確率の向上だ。……富の歴史について語る本は数多くあるし、格差の歴史について語る本も多い。健康と富がいかに密接な関係にあり、健康の格差が富の格差をいかに鏡のように反映しているかについて語る本もたくさん出ている。私はその両方について一冊で語りたいと思う」(はじめに)
取り残された人々を助ける手立ても示した、健康と豊かさの経済学。

目次

はじめに

序章 本書で語ること
映画『大脱走』/経済成長と格差の起原/所得だけでなく健康も/発展はどのようにして起こるのか?/なぜ格差が問題なのか?/ロードマップ/発展を測り、格差を測る/国民幸福度と国民所得

第1章 世界の幸福
健康と財産/世界の平均余命と所得/壊滅的な中断を経ながらも、前へ上へ/世界的貧困と世界的格差/人々は自分の暮らしをどう見ているのか?/精神の幸福

第 I 部 生と死

第2章 有史以前から1945年まで
アメリカ合衆国に見る生と死の基本的概念/有史以前の生と死/啓蒙時代の生と死/1800年—1945年

第3章 熱帯地方における死からの脱出

第4章 現代世界の健康
高齢者も脱出できる/グローバル時代の健康/変わりゆく身体

第 II 部

第5章 アメリカの物質的幸福
アメリカの経済成長/アメリカにおける貧困/アメリカにおける所得の分配/労働の格差/政治と格差/収入と家族/アメリカの高所得者/何があったのか、そしてそれがなぜ重要なのか?

第6章 グローバル化と最大の脱出
世界を測定する/世界の成長/成長、健康、そして人口爆発/世界の貧困/世界の所得格差

第 III 部 助け

第7章 取り残された者をどうやって助けるか
物質的援助と世界的貧困/援助についての事実/援助はどのくらい効果があるのか?/開発プロジェクトの有効性/援助と政治/医療援助は別なのか?/私たちは何をするべきか?

あとがき これからの世界

原注
索引

ノーベル経済学賞受賞

著者アンガス・ディートン教授(プリンストン大学)に2015年ノーベル経済学賞が授与されます。受賞理由は「消費、貧困、福祉に関する分析」。

書評情報

根井雅弘(京都大教授)
北海道新聞2014年12月21日(日)
松井彰彦(経済学者・東京大教授)
読売新聞2015年1月4日(日)
小塩隆士(一橋大学教授)
日本経済新聞2015年1月18日(日)
水流田気流(詩人・社会学者)
朝日新聞2015年1月11日(日)

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