みすず書房

人間機械論【第2版】

人間の人間的な利用

THE HUMAN USE OF HUMAN BEINGS

判型 B6判
頁数 224頁
定価 3,850円 (本体:3,500円)
ISBN 978-4-622-07883-8
Cコード C1040
発行日 2014年9月10日
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人間機械論【第2版】

「ギリシア人は火の発見という行為を非常に分裂した感情で見た。……悲劇の感覚とは、世界はわれわれを保護するためにつくられた心地よい小さな巣ではなく、広大で概して敵意に満ちた環境であって、そこではわれわれは神々に反抗することによってのみ大業を成就することができ、しかもこの反抗はそれ相応の罰をもたらすことを避けえないという感覚である。……この悲劇の感覚を有する人間が、火ではなく、原子分裂のようなもう一つの新たな力の出現に近づくとすれば、彼は恐れおののきながら近づくのである。」
通信と制御の観点から、機械、生物、社会を捉えるサイバネティックスという新しい学問分野を創始し、命名したウィーナー。その主著『サイバネティックス』の内容を、よりわかりやすく説いたのが本書である。(第2版では、その概念が普及した状況から、より思想的・哲学的考察に重点をおいて改訂。)また、自動機械や統治など、科学や社会の未来を予見しつつ警鐘を鳴らす。第二次世界大戦後、ほどなくして刊行された本書だが、21世紀においても示唆に富む内容となっている。

[第2版初版1979年10月5日発行]

目次

訳者まえがき
まえがき——偶然的宇宙という概念

I 歴史におけるサイバネティックス
II 進歩とエントロピー
III 固定性と学習:通信行動の二つのパターン
IV 言語の仕組みと歴史
V 通信文としての組織
VI 法律とコミュニケーション
VII コミュニケーション・機密・社会政策
VIII 知識人と科学者との役割
IX 第一次および第二次産業革命
X ある種の通信機械とその将来
XI 言語、かく乱、通信妨害