みすず書房

京城のモダンガール

消費・労働・女性から見た植民地近代

경성의 모던걸

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 400頁
定価 5,060円 (本体:4,600円)
ISBN 978-4-622-07980-4
Cコード C1022
発行日 2016年4月25日
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京城のモダンガール

1920-30年代、植民地朝鮮に資本主義が押し寄せ、恐怖と快楽が背中合わせだった京城(現・ソウル)。百貨店・劇場・映画館・最新の公共施設が建ちならぶ近代都市の街路を、断髪に洋装の「モダンガール」が闊歩した。植民地支配と近代化のはざまで登場した朝鮮のモダンガールは、ショップガールやバスガールなどの新職業婦人・妓生(キーセン)・女給・女学生・女工などさまざまな階層からなっていた。商品とイメージを消費し、労働力になり、自ら商品とされつつ、新しい生を生きようとした。
当時、「正体不明の女」「あやまてる女(モッタン・ガール)」とひとくくりにされた「モダンガール」の経験とは何だったのだろうか。
たとえば、朝鮮総督府は日本で不足している米を確保しようと「朝鮮産米増殖計画」を実施、農村は疲弊して多くの農民が流民化した。娘たちも移動し、一部は海を渡って関西の紡績工場などの女工になり、あるいは炭鉱近くの朝鮮料理店で酌婦や女給になった。彼女たちもまた、パラソルやストッキング、都会の生活に憧れ、活動写真に夢中になったモダンガールのひとりだったにちがいない。
女たちを街路へ、国境の外へと押し出した夢や欲望、困難を追い、忘れられた声を復元し、見えていなかった近代を描く韓国歴史学のニューウェイブ。

目次

はじめに 女性をとおした、都市をめぐる問い
京城・関連地図

第一章 近代都市と女性
1 モダニティ、スペクタクル、女性
2 植民地都市京城と散策
3 都市に出た女性散策者(フラヌーズ)

第二章 1920-30年代 大衆メディアと「モダンガール」表象
1 「モダンガール』表象の中の女性たち──「モダンガール」「妓生」「ある女学生」「女給」
2 「モダンガール」、模倣と亀裂の痕跡
3 「スペクタクル」としての「モダンガール」とジェンダー化した凝視

第三章 近代の前方に立った女たち
1 女学生と「不良少女」
2 女は何を求めているのか──消費する女たち
3 モダニティの販売者──百貨店の「ショップガール」
4 「モダンガール」の境界線──妓生と女給
5 スタイルと趣味──近代のハビトゥスとジェンダー

第四章 女性労働の場としての近代都市空間
1 「職業婦人」と都市空間
2 都市空間と親密性の商品化
(一)料理店と妓生──職域から労働へ
(二)カフェと女給
(三)近代家庭と「食母/乳母」
3 女工の目で見た都市の風景

第五章 国境を超える女たち──労働者、あるいは商品としての植民地女性
1 日本「内地」の朝鮮料理店と朝鮮人妓生
2 日本「内地」」のカフェと朝鮮人女給
3 日本の工場に行った朝鮮人女工たち

おわりに──攪乱と交渉、逸脱と転覆──都市で女が生きるかたち

日本の読者のみなさまへ──歴史の中で忘れられた声を求めて  ソ・ジヨン
訳者解説──「モダンガール」の重なりあう経験  高橋梓
訳者あとがき──日本で、今、植民地のモダンガールを語るということ  姜信子

書評情報

吉川凪(翻訳家)
日本経済新聞2016年6月26日