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エコロジーの思想

地球の洞察

多文化時代の環境哲学

EARTH’S INSIGHT


「私はツルの沼沢の隠れ場に立って、崇敬の念に打たれて静けさのなかに佇む。そしてこの湿った荒れ地から、アメリカカラマツの上をトランペットのように鳴きわたる大鳥と私とがともに生まれてきたことを思う。(…)この場所はツルなのだ。そして私はツルなのだ。はたして、それは私の夢だったのかもしれない」。
1983年からキャリコットは、ユネスコの委託を受けて、東西の枠を越えた「比較環境倫理学」を研究テーマに、さまざまな国際会議を組織し、論集やアンソロジーを編集してきた。そうした活動を通じて培ってきた研究と対話が、ここに結実した。
西欧の環境思想にとどまらず、ヒンドゥー教、仏教、道教、儒教、禅といった東洋思想や、ポリネシア、北米インディアン、南アメリカ、アフリカ、オーストラリアの先住民たちの大地と生命をめぐる伝統的な自然観をもへだてなく概観し、比較考察する。さらに、ポスト・モダンの進化論‐生態学的環境倫理を構想し、スリランカやタイなど非西洋地域の環境への取り組みにも、熱いエールを送る。
「生態学(エコロジー)にしっかりと基礎づけられ、新物理学によって補強された環境倫理は、世界の多くの土着の思想的伝統と衝突するのではなく、それらと対をなし、補完し合うものになることだろう」。
生物の多様性と文化の多様性は密接に結びついている。21世紀のパラダイムとは、こうした多様性を損なわず、しかもそこに統一と調和をもたらす生態系(エコシステム)の探求である。グローバル時代の環境問題を考えるうえで欠かせない最重要書。


目次


日本語版への序文
はじめに

第一章 序論――環境倫理の概念と必要性
倫理と環境倫理
倫理の実践性
環境倫理――伝統、近代、ポスト・モダン
比較環境倫理と一と多の問題

第二章 環境に対する西洋の態度と価値観――その歴史的起源
ユダヤ―キリスト教の伝統
専制君主の解釈/番人の解釈/市民の解釈/番人の環境倫理
西洋の歴史的起源としてのギリシア―ローマ
神話/哲学
イスラーム
ガイア[地母神]の復権
女神のスピリチュアリティ/ガイア仮説/地球倫理

第三章 南アジアの知の伝統における環境に対する態度と価値観
ヒンドゥー教
ジャイナ教
仏教
結論

第四章 東アジアの伝統的なディープ・エコロジー
老荘思想(道教)
儒教
結論

第五章 東アジアの仏教の生態学的な洞察
華厳
天台と真言

日本人と環境――一つの逆説

第六章 極西の環境倫理
ポリネシア人の宗教世界
アメリカ・インディアンの土地に関する知恵
ラコタのシャーマニズム/オジブウェーのトーテミズム
まとめ

第七章 南アメリカの性愛の生態学
南北間の比較哲学
南アメリカの心の生態学
トゥカノのシステム論/カヤポーの農業―生態学
結論

第八章 アフリカの生物共同体主義とオーストラリアのドリームタイム
アフリカの情景
一つの逆説/アフリカの思考の多様性と統一性/ヨルバの神学における人間中心主義/
サンの自由の作法/アフリカ後記
保全活動家としてのオーストラリアのアボリジニ
オーストラリアの世界観の諸要素/オーストラリアの環境倫理

第九章 ポスト・モダンの進化論―生態学的環境倫理
ポスト・モダニズムとはなにか
一と多の問題
科学の系譜
ポスト・モダンの科学革命
環境倫理の自然史
レオポルドの土地倫理――そのポスト・モダンの諸性質
結語

第十章 伝統的環境倫理の実践活動
番人の環境倫理の実践活動
ヒンドゥー教の環境倫理の実践活動
仏教の環境倫理の実践活動
スリランカのサルヴォーダヤ運動/タイにおける仏教の森林保全活動
結論

監訳者解説
脱西洋近代と日本の伝統思想――訳者あとがき

索引


著訳者略歴

J・ベアード・キャリコット
J. Baird Callicott

1941年テネシー州メンフィス生まれ。シラキューズ大学で博士号取得(哲学)。現在はノース・テキサス大学の哲学教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
山内友三郎
やまうち・ゆうざぶろう

1933年秋田県生まれ。京都大学文学部哲学科(倫理学)卒。大阪教育大学名誉教授。哲学(環境倫理、比較思想、道徳教育)専攻。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
村上弥生
むらかみ・やよい

1961年神奈川県生まれ、大阪大学文学部博士後期課程単位取得退学。倫理学、英米思想史専攻。法政大学、東京外国語大学兼任講師。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
小林陽之助
こばやし・ようのすけ

1937年生まれ。京都大学大学院医学研究科博士課程修了。関西医科大学名誉教授(小児科学)。現在、大阪総合保育大学児童保育学部教授。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
澤田軍治郎
さわだ・ぐんじろう

1940年滋賀県生まれ。現在、大阪総合保育大学教授。著書に『ロシア社会論集』(金壽堂出版有限会社)ほか。共訳書にホランダー『アメリカ社会とソビエト社会』(鹿島出版会)。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
松本圭子
まつもと・けいこ

1993年兵庫医科大学卒業。2000年大阪大学医学部医学博士。2000年8月~2002年12月University of California Los Angeles(UCLA, USA)Postdoctoral Research Fellowships(博士後研究員)。内科・精神科医。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
渡辺俊太郎
わたなべ・しゅんたろう

1975年静岡県生まれ。筑波大学大学院心理学研究科修了。博士(心理学)、臨床心理士。現在、大阪総合保育大学児童保育学部専任講師。著書に『怒りの心理学』(共著、有斐閣)。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

広井良典(千葉大学教授・公共政策)
<朝日新聞 2010年1月24日(日)>
<環境ビジネス 2010年5月号>

関連リンク

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地球の洞察

「地球の洞察」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/568頁
定価 7,128円(本体6,600円)
ISBN 978-4-622-08165-4 C1012
2009年11月20日発行

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