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エコロジーの思想

自然倫理学

ひとつの見取図

ETHICS OF NATURE

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自然倫理学は自然の価値の探究である。
自然と人間の幸福(善き生)はいかに関わるのか。自然に対するわれわれの道徳的かつ実践的関心とは何か。
そうした問いに答えるためにクレプスはまず、「自然」「倫理学」「道具的価値」「内在的価値」「人間中心主義」「自然中心主義」といった基本的な概念を明確に定義する。
つづいて、自然の価値に関する人間中心主義と自然中心主義のさまざまなヴァージョンを批判的に取り上げながら、自然に情感的な価値を認める「啓蒙された人間中心主義」や、他者の幸福に対する尊重を自然にまで拡張する「拡張主義的自然中心主義」を、わかりやすく説く。
「自然にはやはり道徳的な内在的固有価値も存在する。(…)世界の中に絶対的価値を持つものが存在しないのと同様に、自然の中には絶対的価値を持つものは何も存在しない」。
「自然を保護する主要な根拠は人間中心主義的なものです。人間は生き残るためだけに自然を必要としているのではなく、善く生きるためにも自然に依存しているのです」。
従来の応用倫理学に対して原理倫理学とも言うべき新たな領域を切り拓く、ドイツでシュテークミュラー賞を受賞した画期作。


目次


日本の読者へのまえがき
バーナード・ウィリアムズによる序言
献辞

序論
一.議論の概観
二.なぜ自然倫理学なのか
三.自然倫理学という哲学的な学問分野
四.本研究の目的

第一部 基本的諸概念
第一章 自然
一.自然倫理学にとっての「自然」の定義
二.オイコス・コスモス・身体
三.自然の保護 対 自然の管理育成
第二章 倫理学
一.倫理学の対象および道具的価値と内在的固有価値との区別
二.人間の善き生と人間の正しい生
三.人間の善き生
 A. 人間の善き生の核心部分
 B. 人間の善き生の基本的選択肢
 C. 享楽
四.人間の善き生の「幸福」に関わる側面と人間の善き生の「活動」に関わる側面
 A. 快楽主義の挑戦
 B. 快の三つの形式
 C. 快楽主義の挑戦に対するひとつの回答
五.パターナリズムに対する反論
六.道徳的関心と自己利益
七.道徳的文化の解釈学および道徳的文化の正当化
第三章 人間中心主義 対 自然中心主義
一.道徳的世界の境界――「外延的人間中心主義」対「外延的自然中心主義」
二.自然倫理学における絶対的戦略――「認識的人間中心主義」対「認識的自然中心主義」
第四章 第一部の要約

第二部 自然の価値に関する七つの人間中心主義的議論
第一章 基本的欲求に訴える議論
一.古典的思想
二.論証
三.一般的註解
四.自然とともに失われた平和? 環境史の必要性
五.この議論が期待するほど有効でないいくつかの理由
六.自然の内在的価値の主張を組み込んでいる「基本的欲求」論の二つのヴァージョン
 A. 自然が最もよく知っている
 B. 動機づけヴァージョン
第二章 「感性的感覚」論
一.文学作品に見られる思想
二.論証
三.感性的感覚と美学議論
四.感情の普遍性
五.感覚の「文法」
 A. 知覚
 B. 身体的感覚
 C. 感情
六.「感性的感覚」論に対する二つの反論
第三章 「情感的観照」論
一.文学作品に見られる思想
二.論証
三.自然の情感的内在的固有価値
 A. 自然は情感的な資源ではない
 B. 自然は絶対的な情感的価値ではない
 C. 自然の情感的内在的固有価値は道徳的内在的固有価値ではない
四.自然の情感的観照の普遍性
五.情感的対象としての自然の代替不可能性
 A. 諸感覚の同時的活性化
 B. 情感的な傑作
 C. 自然の生成
 D. 崇高なもの
第四章 「自然デザイン」論
一.古典的思想
二.論証
三.註解
第五章 「ハイマート[故郷]」論
一.古典的思想
二.論証
三.註解
第六章 教育学的議論
一.古典的思想
二.論証
三.一般的註解
四.攻撃性を誘導するという反論
五.動物に対する同情を持つべきなのはたんに練習のためなのか。ひとつの警告
第七章 「人生の意味および生きることの真の悦び」論
一.古典的思想
二.論証
三.註解
第八章 第二部の要約と暫定的結論

第三部 自然の価値に関する人間-自然の両面を包括した議論
第一章 全体論的議論
一.古典的思想
二.論証
三.一般的註解
四.存在論的同一性テーゼ
五.善き生の調和テーゼ
六.依存性テーゼ
第二章 第三部の要約

第四部 自然の価値に関する五つの自然中心主義的議論
第一章 感覚中心主義的議論
一.古典的思想
二.論証
三.実践的帰結――動物実験の事例
四.感覚と感情を帰属させる基準の問題
 A. 可謬性を根拠とする反論
 B. 感情を根拠とする反論
 C. 反‐人間中心主義的反論
五.無言語・無関心・無権利という反論
六.契約論からの反論
七.カント主義からの反論
 A. 遂行的同意の普遍性 対 洞察(認識的同意)の普遍性
 B. 洞察の普遍性 対 洞察の実質の普遍性
 C. 道徳的義務の普遍性 対 道徳的義務の実質の普遍性
八.反平等主義からの反論
 A. 人間には反省能力があるという反論
 B. 動物には関心の次元が欠けているという反論
 C. 人間における否定的側面と肯定的側面の総計は動物のそれより大きいという反論
 D. 人間は合理性を持つという反論
 E. 絶対的価値を根拠とする反論
九.「まずは食料だ、道徳はその次だ」という反論
十.自然の治安維持をすることになってしまうという反論
第二章 目的論的議論
一.古典的思想
二.論証
三.一般的註解
四.「目的」という概念の多義性
 A. 「目的」の実践的意味
 B. 「目的」の機能的意味
五.自然は機能的目的に従うが、実践的目的には従わない
六.「目的論的議論」へのわれわれの批判に対する二つの異論
第三章 生命に対する畏敬を根拠とする議論
一.古典的思想
二.論証
三.「生命に対する畏敬」論を論駁する
四.生命に対する権利の道徳的正当化
 A. 未来志向を根拠とする議論
 B. 未来の善き生が奪われることを根拠とする議論
五.動物と死
六.妊娠中絶・新生児殺しへの脱線および重病患者・高齢者・重度精神障害者の生命への道徳的権利
第四章 自然への服従を説く議論
一.古典的思想
二.論証
三.一般的註解
四.なぜ自然に従うことができないのか、あるいは従うことができる場合でも従うべきではないのか
五.認識的な道徳的人間中心主義の不可避性
六.「人間中心主義」と「性差別主義」との誤ったアナロジー
七.種の保存
八.複雑性・安定性・年齢
九.「自然に従え」?
第五章 神学的議論
一.古典的思想
二.論証
三.一般的註解
第六章 第四部の要約

全体の結論

訳注
クレプスの自然倫理学構想と価値の問題――あとがきに代えて
引用文献
事項索引
人名索引


著訳者略歴

アンゲーリカ・クレプス
Angelika Krebs

1961年8月12日にドイツ連邦共和国のマンハイムに生れる。フライブルク、オックスフォード、コンスタンツ、バークレーで哲学・ドイツ文学・音楽を学ぶ。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
加藤泰史
かとう・やすし

1956年、名古屋に生れる。1985年名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。現在 南山大学教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
高畑祐人
たかはた・ゆうと

1961年、富山県に生れる。1998年南山大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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自然倫理学

「自然倫理学」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/312頁
定価 3,740円(本体3,400円)
ISBN 978-4-622-08166-1 C1012
2011年5月20日発行

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