みすず書房

斎藤茂吉の十五年戦争

加藤淑子著作集 3

判型 四六判
頁数 344頁
定価 5,500円 (本体:5,000円)
ISBN 978-4-622-08223-1
Cコード C1395
発行日 2009年9月25日
備考 在庫僅少
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斎藤茂吉の十五年戦争

昭和六年から昭和二十一年まで、この日本近代史の暗黒の時代の十五年間、斎藤茂吉の歌はどのようなものであったか。彼は卓越した歌人であったが、同時に国を憂える平均的日本人の一人であった。
本書は彼の尨大な戦争下のそれぞれについて、戦後公表された資料によってその事実関係と背景を精細に追求し、歌による昭和の十五年戦争概史となっている。著者は「いわゆる制服的歌にも歴史的意義、表現の妙を感じ、従来顧られることの少なかった領域に、時代を共有した一人としてかかわった」と述べている。
戦時の日本国民の感情の文学史であり、時代の生きた証言であり、また尨大な現代史の資料のみごとな整序による新鮮な昭和史でもある。「かりがねも既にわたらずあまの原かぎりも知らに雪ふりみだる」の絶唱と、「宋美齢夫人よ汝が閨房の手管と国際の大事とを混同するな」の政治歌を詠う歌人のアイデンティティの研究にも不可欠の書となろう。

目次

一 満州事変
昭和六(1931)年
昭和七(1932)年
昭和八(1933)年
昭和九(1934)年
昭和十(1935)年
昭和十一(1936)年
昭和十二(1937)年
二 支那事変
昭和十二(1937)年
昭和十三(1938)年
昭和十四(1939)年
昭和十五(1940)年
昭和十六(1941)年
三 大東亜戦争
昭和十六(1941)年
昭和十七(1942)年
昭和十八(1943)年
昭和十九(1944)年
昭和二十(1945)年
四 戦後
昭和二十(1945)年
昭和二十一(1946)年以後

附録
一 ローゼンベルク「二十世紀の神話」をめぐる斎藤茂吉の歌
二 サンカンタン戦
三 号外は「死刑」報ぜり
四 元の使者・常立寺
後記

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