始まりの本
ベンヤミン/アドルノ往復書簡 上
1928-1940
BRIEFWECHSEL
1928-1940
もう一度強調させていただきたいのは、「祈り」としての「注意深い心づかい」の重要性です。あなたの書かれたもののうちで、これにまさって重要なものはあるまい、あなたの内奥の諸モティーフについて、これほど厳密に解き明かしてくれるものは、ほかにはあるまい。(アドルノからベンヤミンへ)
ぼくはきみの手紙を、たんに読んだのではなく、研究した。あの手紙の一語一語が、熟考を求めてくる。きみがぼくの志向をきわめて正確に捉えているだけに、きみによる欠陥の指摘は、大いに重みをもつ。(ベンヤミンからアドルノへ)
「ぼくの仕事の展開は、〈いま〉という時を措いてはなされえまい」(ベンヤミン)
ナチと戦火の迫る亡命の日々、「共同で哲学する運命」を生き、交わした全書簡121通。解説・森田團
著訳者略歴
- ヴァルター・ベンヤミン
- Walter Benjamin
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1892-1940。ベルリンに生まれる。高校時代から急進左派の学生運動に参加、ベルリン大学とフライブルク大学で哲学を学ぶ。
1925年フランクフルト大学に提出した大学資格教授論文が拒否されて以降、雑誌や新聞への寄稿、ラジオ放送の脚本執筆、翻訳に従事。33年ヒトラー政権樹立とともにパリに亡命。35年、フランクフルト大学の国外に出た社会科学研究所の所員となり、パリの国立図書館に通いながら研究活動を行う。39年9-11月、第二次世界大戦の勃発にともないヌヴェールの収容所に入れられるが釈放された。40年パリ陥落のため逃亡、ピレネー山中で服毒自殺。著書に『ベンヤミン著作集』(全15巻、晶文社)『ベンヤミン・コレクション』(全6巻、ちくま学芸文庫)など。
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- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- テオドール・W・アドルノ
- Theodor W. Adorno
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1903-69。フランクフルト・アム・マインに生まれる。フランクフルト大学およびヴィーン大学に学び、フランクフルト大学で講義していたが、ナチス政権時代に亡命。
イギリスで結婚したグレーテル・カルプルスとともにアメリカに渡る。1949年帰国。翌年からフランクフルト大学教授となり、ホルクハイマーらとともに研究所を再建した。哲学・社会学・美学の領域を統合し、フランクフルト学派の代表的思想家として知られる。アルバン・ベルクについて作曲を学び、現代音楽に関する理論家でもあった。著書に『啓蒙の弁証法』(ホルクハイマーと共著)『キルケゴール』『新音楽の哲学』『ミニマ・モラリア』『プリズメン』『文学ノート』『否定弁証法』、没後に編集刊行されたものとして『美の理論』『社会学講義』など。
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- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- H・ローニツ
- Henri Lonitz
- 野村修
- のむら・おさむ
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1930-98。市川市に生まれる。京都大学名誉教授。
著書に『ベンヤミンの生涯』『スヴェンボルの対話──ブレヒト・ロルシュ・ベンヤミン』、訳書にベンヤミン『新しい天使』『暴力批判論』、『ブレヒト全書簡』(晶文社)など。
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- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 森田團
- もりた・だん
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哲学。西南学院大学准教授。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
関連リンク
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「ベンヤミン/アドルノ往復書簡 上」の書籍情報:
- 四六変型判 タテ191mm×ヨコ130mm/296頁
- 定価 3,960円(本体3,600円)
- ISBN 978-4-622-08361-0 C1310
- 2013年6月25日発行