みすず書房

サリヴァン、アメリカの精神科医

始まりの本

判型 四六変型判 タテ191mm×ヨコ130mm
頁数 288頁
定価 3,300円 (本体:3,000円)
ISBN 978-4-622-08366-5
Cコード C1311
発行日 2012年12月20日
備考 現在品切
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サリヴァン、アメリカの精神科医

「現在の精神医学は症状によって診断し、その症状の薬物による撲滅を第一とする。統合失調症の診断を狭くしたのは病名にからむスティグマを考慮したといっても、それはスティグマを負う人数を減らしたにすぎない。患者をまず症状によって評価し分類し特徴づけることは、患者をそのもっとも影の部分によって評価することである。これは患者の自己評価を落とし、自己尊敬を空洞化し、陰に陽に慢性状態成立に貢献しているであろう。これに対してまず人柄を問うサリヴァンの方法は、モラル・トリートメントの伝統に立つものである。有効な薬物があらわれたことは、この伝統を不要にすることではない。むしろ、ますますそれが要請される事態である。」

精神科治療とは。「サリヴァンの精神療法論は、こうしてはいけないということが強調されている」。精神科医・中井久夫のもうひとつのライフワークを初めてまとめる。

目次

凡例

I
サリヴァンの分裂病論
アメリカにおけるサリヴァン追認——サリヴァン・コロキウム(1977年)の紹介を中心として

II
回想 ハリー・スタック・サリヴァン——その対人関係論的精神医学の発展をめぐって  D・M・ライオック〔松井律子・中井久夫訳〕

III
『現代精神医学の概念』
『精神医学の臨床研究』
『精神医学的面接』
『精神医学は対人関係論である』 付・サリヴァン訳語考
『分裂病は人間的過程である』
『サリヴァンの精神科セミナー』
H・S・ペリー『サリヴァンの生涯』 1
H・S・ペリー『サリヴァンの生涯』 2

あとがき

編集者からひとこと

フロイト、ユング一辺倒の日本で、なぜここまでサリヴァンは読まれるのか。その理由の一つに、全翻訳に関与した中井久夫の存在がある。
中井の著作が読まれるのに応じて、サリヴァンも読まれた。患者への接し方や精神医学をめぐる考え方に二人に共通する点も多い。その分裂病論にはじまり、ライオックによる「サリヴァン小伝」をはさんで「訳者あとがき」などを編んだ本書は、サリヴァンについてまとめられた初の書であり、中井久夫を理解するための書でもある。