みすず書房

「この地に住まう者なら、獣とならび、刈っても伐ってもたちまち生えてくる草木の獰猛性に、一目も二目もおくはずだ。そんなことを身に滲みて感じるのも、三十六年余にわたって山麓の変遷を、日々目にしてきたことにもよるのだろう。寄る年波からつい来し方行く末に思いがゆく。その結果自らの、よって来たる源あたりまでをまさぐり、埒もない多くを書き連ねてきた。八ヶ岳山麓といえば、いまや観光公園化して広く喧伝されるが、それがイメージさせるのとはやや異にした、インドアライフといった向きで、このエッセイ集を編んでみた。」(あとがき)

画文集『きのこの絵本』『山のごちそう』などでエッセイストとしても人気の絵描きが、消費とも生産とも無縁な「居候」としての人生を書き下ろす自由な文集。

目次

I 八ヶ岳の庭から




ヒブンショウ
野生鳥獣
落馬

貧乏上手
神樹
ヒッピー
水中歩行
春雪
空襲
基地
迷子
毒キノコ
笑い上戸
音楽
健康優良児
山麓

II 思い出されること
おーい、お茶

ビーツ
初恋
表と裏
秋田蘭画への旅
無所属
国立の月見

あとがき

書評情報

日本経済新聞
2013年8月25日(日)
池内紀
サンデー毎日2013年9月15日号

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