みすず書房

「私たちの世界で〈器官なき身体〉という問題提起的な概念に土方ほどふさわしい実践と思考と生き方をした人はさしあたって見当たらない。しかもダンスという身体の芸術にとってこそ〈器官なき身体〉は永遠の、究極の課題ではないだろうか」
「土方巽の舞踏が身体と生命をどのように問題化したかという問いにむきあうことは、68年の反乱のコンテクストをこえ地域性をこえて表現にとって本質的な課題でありうる。消費、情報、グローバリズムに翻弄される世界で〈身体が何をなしうるのか〉、あらためてスピノザのように問う必要があるにちがいない」

同時代の証言や資料をもとに「禁色」「肉体の叛乱」から東北歌舞伎、衰弱体の採集にいたる創造の軌跡をたどり、アスベスト館「封印」後に書きあげられた驚異の書『病める舞姫』を読みとく。アルトー、ジュネ、そしてドゥルーズの翻訳・研究者であり、晩年の舞踏家と交流した著者による哲学的肖像にして土方巽論の集大成。

目次

I やや哲学的な肖像
土方巽の生成
いくつかの問い
舞踏の書、死者の書
土方巽とアルトーはどこで出会うのか
封印された演劇

II 土方巽の謎
『肉体の叛乱』まで
前衛か技術か
中西夏之のほうから
三島由紀夫という同時代人
『病める舞姫』以前
『舞姫』あるいは兆候
舞踏論のためのノート

付録
死と舞踏家
まだ踊りつづける人に
スイカを食べる
言葉と脱ヒューマニズム


あとがき
初出一覧

書評情報

宮沢章夫(劇作家・演出家)
朝日新聞2017年3月26日(日)
富田大介(美学者・舞踊家/追手門学院大学准教授)
図書新聞2017年6月3日号

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