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子どもたちの階級闘争

ブロークン・ブリテンの無料託児所から



「わたしの政治への関心は、ぜんぶ託児所からはじまった。」英国の地べたを肌感覚で知り、貧困問題や欧州の政治情勢へのユニークな鑑識眼をもつ書き手として注目を集めた著者が、保育の現場から格差と分断の情景をミクロスコピックに描き出す。
2008年に著者が保育士として飛び込んだのは、英国で「平均収入、失業率、疾病率が全国最悪の水準」と言われる地区にある無料の託児所。「底辺託児所」とあだ名されたそこは、貧しいけれど混沌としたエネルギーに溢れ、社会のアナキーな底力を体現していた。この託児所に集まる子どもたちや大人たちの生が輝く瞬間、そして彼らの生活が陰鬱に軋む瞬間を、著者の目は鋭敏に捉える。ときにそれをカラリとしたユーモアで包み、ときに深く問いかける筆に心を揺さぶられる。
著者が二度目に同じ託児所に勤めた2015-2016年のスケッチは、経済主義一色の政策が子どもの暮らしを侵蝕している光景であり、グローバルに進む「上と下」「自己と他者」の分断の様相の顕微描写である。移民問題をはじめ、英国とEU圏が抱える重層的な課題が背景に浮かぶ。
地べたのポリティクスとは生きることであり、暮らすことだ──在英20年余の保育士ライターが放つ、渾身の一冊。

◆刊行記念トークイベント動画
[鼎談]ブレイディみかこ×岸政彦×松尾匡
「緊縮社会はノー・フューチャー 英国で、日本で、いま何が起きているのか」


2017年5月13日に明治大学紫紺館で行われたトークイベントの映像です(64分)。
「反緊縮」をキーワードに、社会学者の岸政彦さんが司会となって、本書『子どもたちの階級闘争』に描かれた英国社会、緊縮財政が社会にもたらす影響、さらにはその弊害を乗り越える経済政策はあるのか、ということについて、著者のブレイディみかこさん、経済学者の松尾匡さんとともに語り合います。
(映像が表示されないときには下記のリンクをご利用下さい
YouTube動画 https://youtu.be/0Bf3iYwPZRc


目次


はじめに──保育士とポリティクス

I 緊縮託児所時代 2015-2016
リッチとプアの分離保育
パラレルワールド・ブルース
  コラム 子どもたちを取り巻く世界 1 貧困ポルノ
オリバー・ツイストと市松人形
緊縮に唾をかけろ
貧者分断のエレジー
  コラム 子どもたちを取り巻く世界 2 RISE──出世・アンガー・蜂起
リトル・モンスターと地上の星々
ふぞろいのカボチャたち
クールでドープな社会変革
ギャングスタラップ児とムスリム・プリンセス
天使を憐れむ歌
コスプレと戦争と平和
託児所から見たブレグジット
  コラム 子どもたちを取り巻く世界 3 フットボールとソリダリティ
ターキッシュ・ホリデイ(トルコの休日)
フードバンクの勃興とわれわれの衰退
ザ・フィナーレ 笑い勝つその日のために

中書き

II 底辺託児所時代 2008-2010
あのブランコを押すのはあなた
フューリーより赤く
その先にあるもの。
ゴム手袋のヨハネ
小説家と底辺託児所
神の御使い
母獣。そして消えて行く子供たち
故国への提言──UK里親制度って、結構ボロックスだよ。
白髪のアリス
炊事場のスーザン・ボイル
ロザリオ
たどり着いたらいつもどしゃ降り
愛のモチーフ
マイ・リトル・レイシスト
ブライトン・ロック──ミテキシーとベッキーと、時々、ミッキー
もう一人のデビー
人種と平等のもやもや──インクルージョン
ある追悼

おわりに──地べたとポリティクス

初出一覧


著訳者略歴

ブレイディみかこ

保育士・ライター・コラムニスト。著書に、『花の命はノー・フューチャー』(2005年、碧天舎。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

栗原裕一郎(評論家)
<東京新聞「3冊の本棚」 2017年5月21日(日)>
武田砂鉄(フリーライター)
<毎日新聞「武田砂鉄の気になるこの人」 2017年5月27日(土)>
大島明秀(熊本県立大学准教授)
<熊本日日新聞 2017年5月28日(日)>
海老沢類<産経新聞 読書「聞きたい」 2017年6月4日(日)>
船崎桜(記者)
<朝日新聞(生活) 2017年6月6日(火)>
齋藤純一(早稲田大学教授・政治学)
<朝日新聞 2017年6月11日(日)>
北條一浩(ライター)
<しんぶん赤旗 2017年6月11日(日)>
<朝日新聞「欧州季評」 2017年6月22日(木)>
<「図書新聞」インタビュー 2017年6月24日(土)>
<「婦人公論」 2017年7月11日号>
((クレヨンハウス発行))
<月刊「クーヨン」 2017年8月号>
内田樹(神戸女学院大学名誉教授)
<[文春]図書館週刊文春 2017年7月13日号>
田沢竜次<「社会新報」 2017年7月12日>
西條博子<「文春図書館」 2017年9月29日号>
田中暁子(後藤・安田記念東京都市研究所主任研究員)
<「都市問題」 2017年11月号>
白河桃子(少子化ジャーナリスト)
<「サンデー毎日」 2017年11月12日>
伊東光晴(京都大学名誉教授・経済学)
<毎日新聞「2017年この3冊」 2017年12月10日(日)>
野村保子<「女のしんぶん」 2017年12月10日号>
<「ゆとりら」秋冬号 2017年10月>

この本の関連書


「子どもたちの階級闘争」の画像:

子どもたちの階級闘争

「子どもたちの階級闘争」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/296頁
定価 2,592円(本体2,400円)
ISBN 978-4-622-08603-1 C0036
2017年4月17日発行

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