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異議申し立てとしての宗教


「〈宗教的なるもの〉とは、宗教とは異なる、世俗世界性のひとつの条件であって、宗教的というよりはむしろ世俗的な身振りである、というふうに定義しなおすことができるのではないでしょうか。〈宗教的なるもの〉が孕む多くの概念は、コミュニティ内における人間同士の関係性や、人間のみならず動物をも含んだ関係性を司るものであって、この世界における世俗的な生の様式にかかわるものなのです」。
サイードの高弟であり、文化研究/ポストコロニアル批評の領域に宗教(とくに改宗)というモメントを導入した人文学者ヴィシュワナータンの、日本語版オリジナル編集による論文集である。
ヴィシュワナータンはまず、「英文学はインドで誕生した」という新説でデビュー。そして、世俗社会による宗教の抑圧を批判的に検証し、宗教的異端がじつは世俗主義の生みの親であり、かつ批判の根拠にもなりうるというテーゼを、アンベードカル(インド独立の指導者)やラマーバーイー(フェミニズムの先駆者)による「改宗」という行為を通じて論証する。
さらに、オカルティズムや神智学など、西洋キリスト教的世俗主義とは異なる、異他的でオルタナティヴな知の系譜のうちに、世俗社会へのラディカルな批評性を読み取る。懇切な解題とインタヴューをも収録し、ユニークなヴィシュワナータンの活動の歩みが一望できる画期的な論文集。


目次


まえがき

第一部 世俗批評を越えて
解題
第一章 サイードの遺産(レガシー)――意図と方法
第二章 〈英文学〉の制度化と表象=代理/代表(リプレゼンテーション)の問題

第二部 世俗批評としての改宗
解題
第三章 平等への改宗――不可触民解放の指導者・アンベードカル
第四章 沈黙させられる異端――キリスト教に改宗したバラモン女性・ラマーバーイー

第三部 異端批評に向けて
解題
第五章 異他的知の枠組による世俗主義の再考
第六章 日常業務としてのオカルティズム――神智学による世俗と神秘の接合
第七章 「動物は魂を持つのか?」――神智学と苦痛する身体

巻末インタヴュー
あとがき

文献表
人名索引 事項索引


著訳者略歴

ゴウリ・ヴィシュワナータン
Gauri Viswanathan

コロンビア大学教授。インド・コルカタ生まれ。デリー大学で修士課程を修了・同大学で教職についた後、渡米しコロンビア大学でエドワード・W・サイードに師事。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
三原芳秋
みはら・よしあき

1974年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科准教授。文学博士(コーネル大学)。英語圏文学・文学理論専攻。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程およびコーネル大学大学院博士課程修了。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
田辺明生
たなべ・あきお

1964年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。学術博士(東京大学)。文化人類学、南アジア地域研究専攻。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。東京外国語大学、京都大学を経て、現職。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
常田夕美子
ときた・ゆみこ

国立民族学博物館外来研究員。学術博士(東京大学)。東京大学大学院総合文化研究科文化人類学専攻博士課程単位取得退学。大阪大学グローバルコラボレーションセンター特任准教授を経て、現職。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
新部亨子
にいべ・きょうこ

翻訳家。京都大学法学部卒。1987-1993年、J. P. モルガン&カンパニー(現J. P. モルガン・チェース・アンド・カンパニー)勤務。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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異議申し立てとしての宗教

「異議申し立てとしての宗教」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/464頁
定価 6,480円(本体6,000円)
ISBN 978-4-622-08662-8 C1010
2018年7月10日発行

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