みすず書房

金持ち課税 電子書籍あり

税の公正をめぐる経済史

TAXING THE RICH

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 320頁
定価 4,070円 (本体:3,700円)
ISBN 978-4-622-08701-4
Cコード C0033
発行日 2018年6月 8日
電子書籍配信開始日 2018年6月15日
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金持ち課税

「国はいつ、なぜ富裕層に課税するのか。今日、これほどタイムリーかつ意見の対立する問題はない。…20世紀の高課税は民主主義の影響だったのか、不平等への対応だったのか。…本書は、過去へさかのぼり、富裕層課税の歴史が現在の状況に何を教えてくれるかを示していく。…我々の考えでは、社会が富裕層に課税するのは、国民が国家は富裕層に特権を与えていると考え、公正な補償によって富裕層に他の国民より多く課税するよう要求する時だ」

「1914年に大規模戦争時代が到来し、富裕層課税を支持する強力な新主張が生まれた。労働者階級が徴兵されるなら、公平に、資本家階級にも同様のことが要求される。…戦争の負担が平等でないなら、富裕層はより重税を課されるべきだ。…しかし、大規模戦争がなくなると、そうした主張は消えていく。代わりに、富裕層への高課税は新たな既存体制となり、富裕層への課税は「公正」だと、何の説明もなしに主張するしかなくなっていった。そのような状況で、富裕層の税が下がっていくのは不可避だった」

世界的に不平等が拡大するなか、税による解決は可能なのか? 歴史から新たな回答を提示する基本書。

目次

第 I 部 課税をめぐる議論

第1章 政府が富裕層に課税する理由
富裕層課税の隆盛(と衰亡?)
富裕層課税についての一般的な考え方
「民主主義になれば富裕層への課税が重くなる」
「民主主義国は不平等が大きくなると富裕層に課税する」
「民主政治は富裕層に捕獲されることがある」
「政府は、それが自滅的だと考えるときには富裕層への課税を回避する」
市民の平等な扱い
富裕層課税の未来

第2章 市民の平等な扱い
支払い能力主義
補償論
人びとは平等な扱いを信じているのか
まとめ
歴史を用いてさまざまな主張を評価する

第 II 部 政府はどのようなときに富裕層に課税してきたか

第3章 過去2世紀の所得税
最高限界税率
最高税率の変化──民主主義の役割は?
不平等と最高限界所得税率
戦争動員と最高所得税率
戦争と個人の態度についての最初の証拠
最高所得税率の決定要因

第4章 相続財産への課税
相続課税をめぐる議論
最高相続税率のデータセット
いつ、どのようにして相続財産は課税されたか
富の不平等と相続課税
民主主義と相続課税
戦争動員の重要性
相続税の全体的な累進性
結論

第5章 文脈のなかでの富裕層課税
資本税と戦争税
間接税の負担
支出と債務の影響
財政的必要──ウィリー・サットン効果
結論

第 III 部 なぜ各国政府は富裕層に課税してきたのか

第6章 富の徴兵
イギリス
カナダ
合衆国
フランス
結論

第7章 戦争テクノロジーの役割
歴史上の三つの事例
鉄道と近代的大規模軍
大規模軍の終焉
将来への影響

第8章 なぜ富裕層課税は縮小したのか
戦後コンセンサスはあったのか
成長への危惧が税の引き下げにつながったのか
グローバリゼーションが富裕層課税を不可能にしたのか
変わりゆく公正論
今日の補償論

第9章 これからの富裕層課税
人びとを平等に扱うための三つの方法
今日の人びとが望む最高税率
富裕層課税をめぐるこれからの議論

謝辞
索引
図表一覧
原注
参考文献

書評情報

坂井豊貴(慶應大学教授・経済学者)
読売新聞2018年7月8日(日)
齋藤純一(早稲田大学教授・政治学)
朝日新聞2018年8月4日(土)
鹿野嘉昭(同志社大学教授)
日本経済新聞2018年8月4日(土)
栗原裕一郎(評論家)
東京新聞「3冊の本棚」2018年8月19日(日)