他者の影
ジェンダーの戦争はなぜ終わらないのか
SHADOW OF THE OTHER

判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 272頁 |
定価 | 4,950円 (本体:4,500円) |
ISBN | 978-4-622-08743-4 |
Cコード | C1011 |
発行日 | 2018年11月9日 |

SHADOW OF THE OTHER
判型 | 四六判 |
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頁数 | 272頁 |
定価 | 4,950円 (本体:4,500円) |
ISBN | 978-4-622-08743-4 |
Cコード | C1011 |
発行日 | 2018年11月9日 |
〈他者は「私」の影でしかないのでも、「私」が他者の影でしかないのでもない。他者はその人自身の影を持つ、もう一人の人間なのだ〉
フロイトのエディプス・コンプレックス論にも見られるとおり、草創期の精神分析では、男性を主体(=能動)とし、女性を客体(=受動)とする構図で理論が積み上げられた。しかし、時代とともに女性をとりまく環境と女性のあり方が変化し、フロイトの女性論は今日まで多くの対立を生んできた。
ベンジャミンはこうした精神分析の男性中心主義の乗り越えに、女性固有の優位点を謳い上げ、女性の権利を振りかざすことはない。問題の根源は、精神分析の「一人の人間がどのように環境や周囲の人間を利用し、うまく折り合いをつけ、最終的に自分の欲望を満たすか」という一者心理学的な基本姿勢にあるのである。
フロイトの女性論、そしてそれに向けられたフェミニズム思想の批判的言説を再検討し、対立を乗り越える共通の基盤を切り開く。精神分析における「ジェンダーの戦争」の終結への序章となる重要書。
謝辞
はじめに
第1章 身体から発話へ、精神分析の最初の跳躍——フロイト、フェミニズム、そして転移の変遷
第2章 「内容の不確かな構築物」——エディパルな相補性を超える、ジェンダーと主体
第3章 他者という主体の影——間主観性とフェミニズム理論
補論 精神分析と女性——ジェシカ・ベンジャミンの登場まで 北村婦美
解説 北村婦美
文献
索引