みすず書房

工場日記

JOURNAL D’USINE

判型 四六判
頁数 264頁
定価 4,620円 (本体:4,200円)
ISBN 978-4-622-08817-2
Cコード C1010
発行日 2019年7月1日
備考 在庫僅少
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工場日記

1934年冬から翌年の夏まで、二度の失職と求職活動を挟みながら、25歳のヴェイユはアルストン、ルノーなど三つの工場で働いた。労働と労働者をつなぐ諸関係を深く知り、労働のうちに存する不幸と自由、尊厳の問題を考え抜くには、みずから女工の生活に飛び込む以外にない——赴任先のフランス中部のリセで教壇に立ちながら、週末ごとに炭坑夫や革命的労働組合主義者たちと交わるなかで選びとった結論だった。
生命を根こぎにする工場の苛酷な労働の中に、全宇宙の実在性を身体で実感する日々。それ以前にかたちづくられた思考に現実世界のなかで確かな足場が与えられてゆく。機械と人間、労働と労働者、技術と文明…「死ぬまで消えない奴隷の刻印」と引き替えにのこされた、稀有な記録。

目次

凡例

工場日記
  工場日記
  断片

解説  佐藤紀子
工場の火花に照らされて——『工場日記』をめぐる追加考察  冨原眞弓

『シモーヌ・ヴェイユ選集II』所収「工場日記」を単行本に

本書は、『シモーヌ・ヴェイユ選集II』所収「工場日記」を単行本化したもので、訳者が原典の手稿をあらためて検討し、各テキストの配置を確定しています。また、当時の工場でおこなわれていた作業の内容、手順・機械や道具の名称等について、佐藤紀子・國學院大學助教(フランス哲学)による全面的な校閲を経て、訳文に手を加え、同氏による解説を新たに付しました。