みすず書房

アリストテレス 生物学の創造 下 電子書籍あり

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 344頁
定価 4,180円 (本体:3,800円)
ISBN 978-4-622-08835-6
Cコード C1045
発行日 2019年9月17日
電子書籍配信開始日 2019年10月25日
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アリストテレス 生物学の創造 下

「アリストテレスの科学の精巧なタペストリーに思いをいたし、それをわれわれの科学とくらべてみながら、われわれは今ようやく、彼の意図していたことや彼が成し遂げたことを、われわれ以前のどの時代よりもはっきりと見て取ることができるようになった。私はそう思っている。そしてもしそれが本当なら、それはわれわれがやっと、彼に追いつくことができたからなのだろう。」
(本文より)

下巻では遺伝や生活史の理論、ダーウィンとの比較のほか、自然発生説やコウイカ大論争といったテーマに端を発する近代以降の生物学のターニングポイントにもスポットライトを当て、その随所にアリストテレスの影を色濃く浮かびあがらせる。また、アリストテレスの生物学と哲学がどのように結びついていたか、それらがいかに現代の生物学の体系の中核に引き継がれているかについても掘り下げる。
科学革命以来の数百年間、ほとんど蔑ろにされ忘れられていた偉大な生物学者を、著者はダーウィンやリンナエウスと比肩する先達として見事に蘇らせている。

〈グールドの最良の著書にも匹敵する才筆。近年の生物系の著作の中では抜きん出て長く読まれる本になるだろう〉
──ニューサイエンティスト誌

目次

《ヒツジの谷》
遺伝や変異、性決定、先祖返りについてのアリストテレスの理論は、思弁的ではあったが、ありうべき血の通うシステムを精巧に描きだしていた。

《カキのレシピ》
アリストテレスが奇妙にも自然発生論をもちだして説明づけている生き物たちがいる。なぜ彼は自身の体系をねじ曲げて、一部の生物の自然発生を信じたのか。

《イチジク、蜜蜂、魚》
アリストテレスは生物の生活史を世界全体の動的平衡とサイクルの中に位置づけ、環境の要請と動物の体の要求を見事に関連づけていた。十分に説明がつかない生物種は、彼をもっとも悩ませ、かつ魅了した。

《石の森》
進化論を含まないアリストテレスの生物学は忘れられた。しかしその影響はリンナエウス、キュヴィエを通じてダーウィンへ、そして現代の生物学へと引き継がれている。

《宇宙》
アリストテレスの生物学には群集生態学が欠けているように見えて、そのことは彼の生物学と政治学、形而上学、倫理学などを結ぶ補助線でもある。その全体は壮大な「宇宙の目的論」のヴィジョンをなしている。

《ピュラー海峡》
彼の遺産はなぜかくも徹底的に忘れ去られたのか。一七世紀の科学革命にまでさかのぼり、アリストテレス評価の変遷とその妥当性を再考する。

補遺 
I アリストテレスの動物一二種と、六つの形態学的特徴のためのデータ・マトリクス
II 胎生四足類(哺乳類)の栄養(troph?)摂取とその配分経路
III 知覚と動作のCIOMモデル
IV アリストテレスの心臓—肺の体温調節サイクル
V アリストテレスの生活史データ——胎生四足類と鳥類
VI 生活史の特徴間の関係を現代のデータを使用して図示

謝辞
訳者あとがき

図版について
参考文献解題
索引