みすず書房

ミシェル・レリスの肖像

マッソン、ジャコメッティ、ピカソ、ベイコン、そしてデュシャンさえも

判型 A5変型
頁数 264頁
定価 6,050円 (本体:5,500円)
ISBN 978-4-622-08847-9
Cコード C1098
発行日 2019年10月25日
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ミシェル・レリスの肖像

ミシェル・レリスの仕事は、代表作と目される『成熟の年齢』や『ゲームの規則』四部作に示されるように、記憶の襞の奥に入り込み、独自の「詩と真実」の追求を試みる自伝的作品に本領がある。
本書は幾重にも折り重なる「肖像」の意味を問い直すために書かれることになるだろう。画家たちが描くレリスの肖像があり、レリスが描く画家たちの肖像があり、画家たちとレリスが描く芸術家と芸人たちの肖像があり、そのなかには自画像もまた含まれている。イメージとテクストはそれぞれが鏡のようになって、鏡像が反射しあう。
ゲームとは、賭けであり試合であり見世物であり遊戯であり演戯である、レリスの「ゲームの規則」をさぐる試みもまた一個のゲームを構成することになるだろう。
没後30年、死後の生において「栄光」を手に入れたかに見えるミシェル・レリス。20世紀フランスにおける特異な存在である「文脈から逸脱をつづける人」についに共鳴する、エレガントなライフワーク。

[第71回読売文学賞〈研究・翻訳賞〉受賞(2020年2月)]

目次

はじめに
第一章 骰子をふる男——マッソンの場合
第二章 ラザロのように——ジャコメッティの場合
第三章 道化役者の肖像——ピカソの場合
第四章 アナモルフォーシスの遊戯——ベイコンの場合
第五章 レリスの変身譚
第六章 ゲームとその規則——デュシャンの影
第七章 アーティストの/としての肖像

あとがき
図版一覧

読売文学賞 受賞

本書は、第71回読売文学賞〈研究・翻訳賞〉を受賞しました(2020年2月)。