みすず書房

人種と歴史/人種と文化

RACE ET HISTOIRE, RACE ET CULTURE

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 152頁
定価 3,960円 (本体:3,600円)
ISBN 978-4-622-08850-9
Cコード C1010
発行日 2019年10月10日
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人種と歴史/人種と文化

世界で読まれるコンパクトな名著「人種と歴史」を、第一人者・渡辺公三の新訳で。文化の多様性をふたたび断固擁護した「人種と文化」併収。新序文。

『人種と歴史』は1952年、ユネスコの依頼で書かれた。人種差別の偏見と闘う小冊子シリーズの一冊であり、キャンペーンの背景にはナチス・ドイツの人種理論の根絶という戦後の切迫した問題意識があった。
レヴィ=ストロースは、あらゆる社会に存在する〈自民族(自文化・自社会)中心主義〉の幻想性を突き、徹底した文化相対主義を提示し、鋭利な論理で人種主義の思想的根拠を解体する。著者が論じた核心と、込めた熱意を、レヴィ=ストロース研究の第一人者・渡辺公三の訳はまっすぐに伝える。『人種と歴史』は、フランスでは人種差別反対の基本図書として高校の教材になっているという。レヴィ=ストロース思想全体の理解にも肝要の書であり、『野生の思考』『神話論理』に結実してゆく基本的主題と一貫した倫理的態度のエッセンスが凝縮されている。そして、ここに示された他者の寛容、人類史スケールの歴史観は、時を越え、根源的問いを投げかけてやまない。
1973年ふたたび文化の多様性を断固擁護した「人種と文化」(三保元訳)を併収。長くレヴィ=ストロースと研究をともにした人類学者・民族学者イザールが、両著の書かれた経緯、呼び起こした反響から今日の評価までを解説した序文(2001年)をよせる。

〈「人種と歴史」と「人種と文化」は、今日的意義の照明のもとで一気呵成に読まれるべきではなかろうか。なぜならそれらはひとつの偉大な思考作品として、われわれを取り巻くこの世界と消滅していく諸世界についての同じひとつの考察の、切り離しがたい二側面を共に形作っているからである〉(「序文」)

〈人類の文化の多様性は、われわれの背後に、われわれの周囲に、われわれの眼の前にある。そこでわれわれが主張できるただひとつの要請は(それぞれの個人に、それは対応する義務をうみだす)、ひとつひとつの形態が、他者のもっとも大きな寛容性への寄与となるような、そのような形態のもとで多様性が自らを実現することである〉(「人種と歴史」)

目次

序文   ミシェル・イザール

人種と歴史
I 人種と文化
II 文化の多様性
III 自民族中心主義
IV 古代文化と未開文化
V 進歩の理念
VI 停滞的歴史と累積的歴史
VII 西欧文明の位置
VIII 偶然と文明
IX 文化間の協働
X 進歩の二つの意味

人種と文化

編集部より

(本書巻末に、つぎのような注記を付しています)
一 本書は、Claude Lévi-Strauss, Race et histoire, Race et culture, Préface de Michel Izard, Albin Michel / Éditions UNESCO, 2001の全訳です
一 〔略〕
一 「人種と歴史」渡辺公三訳は、訳者の急逝後に残されていた遺稿に拠ります。出版のためご尽力いただき校閲の労をおとりいただいた西成彦教授(立命館大学)にあつく御礼申し上げます
一 「人種と文化」三保元訳は、レヴィ=ストロース『はるかなる視線』1(みすず書房、1986)第1章「人種と文化」を、訳者の許諾のもとに再録しました。なお表記等を若干改めた箇所があります
一 訳者の渡辺公三による「人種と歴史」解説は、著書『レヴィ=ストロース——構造』(講談社、1996、2003)とくに第3章2「歴史の遠近法」、『闘うレヴィ=ストロース』(平凡社、2009、増補2019)とくに第3章2「ユネスコと野生の思考」、『身体・歴史・人類学III 批判的人類学のために』(言叢社、2018)とくに第I部第4章「国民国家批判としての文明論」ならびに第III部第7章「冷戦期における「構造」の生成」等をご参照のこと