みすず書房

目に見えない傷 電子書籍あり

ドメスティック・バイオレンスを知り、解決するために

NO VISIBLE BRUISES

判型 四六判
頁数 464頁
定価 4,950円 (本体:4,500円)
ISBN 978-4-622-08896-7
Cコード C0036
発行日 2020年6月16日
電子書籍配信開始日 2020年6月30日
オンラインで購入
電子書籍を購入 *価格は各電子書店でご確認ください
目に見えない傷

ドメスティック・バイオレンスは世界中で深刻な被害をもたらしている。けれども、何が問題の本質なのか、そもそも何が起こっているのか、理解されているとはいえない。
著者は、被害者、加害者、双方の家族、支援組織のアドボケイト、警察官などに会い、話を聞いていく。ひとは被害者に「なぜ逃げないのか」と問うが、被害者は加害者といることを選択しているのではなく、現行制度のなかで最大の警戒をしながら動いている。加害者はパートナーの日常をコントロールし、力を喪失させる。制度の隙間は事態を深刻化させる。取材するうち、そうしたことが分かってくる。
警察、支援組織、法執行機関という、異なる価値観に基づく組織の連携をどうとるか。DVの危険度を判定する基準をどうつくり、共有するか。被害者が仕事や人間関係を失わずに生活をするためのプログラムとは。
何年もかけた取材によって、外からは見えにくいDVの実態を明らかにし、解決への糸口を示した本として、アメリカで高い評価を得た。

目次

はじめに

第一部 結末
1 彼女たちは家に残る
2 出会い
3 何を見落としていたのか
4 日常生活をコントロールされる
5 熊が来る
6 土壇場での努力
7 愛した人に命を奪われる
8 世界はもはや同じではない
9 何もしなければ何も変わらない
10 力の喪失

第二部 始まり
1 バタラー介入プログラム
2 刑務所でのプログラム
3 キレるというフィクション
4 加害者のナルシシズム
5 被害者に依存する
6 警官の対応
7 面会
8 脱落者

第三部 その狭間に
1 制度の隙間
2 エンパワメントには主権が必要
3 ハイリスクチームの戦略
4 被害者を訪ねる
5 死んだふりをする
6 自由への道
7 影のような存在

あとがき
謝辞
あとがき(ペーパーバック版)
原註
索引

書評情報

日本経済新聞(荻上チキ・評)
2020年8月8日