みすず書房

SS将校のアームチェア

THE SS OFFICER’S ARMCHAIR

判型 四六判
頁数 400頁
定価 4,400円 (本体:4,000円)
ISBN 978-4-622-09034-2
Cコード C0022
発行日 2021年11月17日
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SS将校のアームチェア

古いアームチェアを修理に出したところ、中から書類の束が見つかった。鉤十字の印があり、一見してナチの文書とわかるものだった。誰が、何のために隠したのか。謎を託された著者は、その行方を追う。
書類の持主は、ローベルト・グリージンガー。SS(親衛隊)将校だった。プラハの椅子職人、シュトゥットガルトに住む甥、二人の娘、遺された日記、各国の公文書館を探るうちに、その人生が徐々に明らかになっていく。
娘たちは父親がSS将校であったことを知らなかった。グリージンガーはSSに所属しつつ、法務官として仕事をしていた。彼のように一見普通の市民として生活していたSSは多くいたが、戦後の裁判の対象ではなかったため、その実態は定かではない。
第三帝国の一部として淡々と職務を果たした「普通のナチ」と、その家族。歴史から忘れられたナチの足跡が浮かび上がる。

目次

序章
第1章 「本物の」ナチ
第2章 アメリカから受け継いだ思想
第3章 「零時」
第4章 「戦中少年」世代
第5章 空虚な話
第6章 SSの家族
第7章 生存圏(レーベンスラウム)
第8章 スタヴィシチェ
第9章 ビール瓶
第10章 バーンホフ通りの男
第11章 ギーゼラはダンスに出かけた
終章

謝辞
写真と地図のリスト
利用したアーカイブ
原注
索引

書評情報

鰐部祥平
HONZ「ユダヤ系歴史家の調査が 「一般のナチ」の姿に迫る」 2022年1月15日
芝健介
(歴史学者)
週刊文春「文春図書館」 2022年1月27日号