みすず書房

アジアの多重戦争1911-1949

日本・中国・ロシア

THE WARS FOR ASIA 1911-1949

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 504頁
定価 5,940円 (本体:5,400円)
ISBN 978-4-622-09035-9
Cコード C1020
発行日 2021年11月16日
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アジアの多重戦争1911-1949

東アジアの戦後秩序はどのように形成されたのか、それは必然だったのか。本書は20世紀前半に東アジアで戦われた戦争に焦点を絞り、軍事研究の側からこの問いに答えようしている。なぜならそれは、もっぱら戦争に関わるからである。その際本書は、諸戦争の複雑な相互関係と全体像をとらえるために多重戦争(nested wars)という概念を導入している。それは「内戦」「地域戦争」「世界戦争」が入れ子式に重なった一塊のものとして歴史を見る。
1911年の清朝崩壊に端を発し1949年の中華人民共和国誕生で終息を見た国民党と共産党の長い「内戦」。満洲事変に始まる日中戦争という「地域戦争」。太平洋戦争を含む「世界戦争」。これらの戦争は互いに重なるだけでなく、一方が他方の原因となり結果となることで、密接に絡み合っていた。諸戦を別々に扱う歴史叙述には欠けがちな重要側面である。
著者はアメリカ海軍大学校戦略・政策学科で教鞭を執る。そこでは「大きく考える」ことが求められるという。軍事研究は「軍事」という狭い領域の学問と思われがちだが、本書は逆に、軍事の視点から歴史の新たな全体像を描き出している。歴史学と軍事研究をつなぎ、日英中露語の史料を駆使した意欲作。

目次

謝辞
表記について

第一部 恐怖と野心――日本、中国、ロシア
第一章 序論――第二次世界大戦のアジアにおける起源
第二章 日本 1931-36年――ロシアの封じ込めと「昭和維新」
第三章 中国 1926-36年――混沌、そして天命の探究
第四章 ロシア 1917-36年――迫り来る二正面戦争と世界革命

第二部 多重戦争――世界戦争のなかの地域戦争、地域戦争のなかの内戦
第五章 1911年、中国の長い内戦の始まり
第六章 地域戦争――日中戦争
第七章 世界戦争――第二次世界大戦
第八章 長い内戦の終幕
第九章 結論――地域戦争の序幕、世界戦争の終幕としての内戦

監訳者あとがき
原注
年表
索引

書評情報

加藤聖文
(歴史学者・国文学研究資料館准教授)
「世界史の中の三つの戦争」
読売新聞 2021年12月12日