みすず書房

パンデミックから何を学ぶか 電子書籍あり

子育て・仕事・コミュニティをめぐる医療人文学

QUARANTINE LIFE FROM CHOLERA TO COVID-19

What Pandemics Teach Us About Parenting, Work, Life, and Communities from the 1700s to Today

判型 四六判
頁数 288頁
定価 3,740円 (本体:3,400円)
ISBN 978-4-622-09531-6
Cコード C0036
発行日 2022年9月16日
電子書籍配信開始日 2022年9月30日
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パンデミックから何を学ぶか

2020年に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起きてから、私たちは現実の否定とパニックを行き来し、仮想敵をつくり、真偽の不明な情報や統計データに一喜一憂してきた。
感染症をめぐる言説を研究しつづけてきた医療人文学者の著者によれば、これらの反応は歴史において繰り返されてきたという。この50年ほどのあいだの科学の進歩はパンデミックを回避する知識を私たちに与えたが、皮肉にも、実際にパンデミックが起きたときに何をすべきかについての先人の知恵を奪ったのだ。
デフォーが『ペスト』で描いた強制隔離のむずかしさ、人々の病気への意識を根底からくつがえした「細菌」の発見、一冊のベストセラーがアメリカを恐怖のどん底に陥れたエボラ出血熱……。医学・科学史、心理学、行動科学、文学などの豊富な知見とともにパンデミック下の市民社会の反応を分析し、よりよい隔離生活のための30の教訓を導き出す。
パンデミック下の生活でつらかったこと、もう二度と元通りにならなくなってしまったこと――それを語り継ぐのは、いまパンデミックを生きのびている私たちにしかできないことなのだ。

目次

目次
謝辞

序章
第1章 #女たちの声を聞け――天然痘、ワクチン、そして細菌以前の世界 1721年
第2章 危険な取引――人々が死んでいくあいだも国を繁栄させ続けるには 1722年
第3章 人はみんなつながっている――コレラが教えたコミュニティのありかた 1832年、1848年、1854年
第4章 手を洗いなさい――公衆衛生キャンペーンの歴史 1845-1875年ごろ
第5章 どこもかしこもバイ菌まみれ――人類を救った細菌の発見が、人類を滅ぼすかもしれないのはなぜか 1875-1901年

幕間 反逆の章――死について話そう、ベイビー

第6章 荒療治と危険な療法の歴史――リスク回避がかえって危険な行動につながるのはなぜか 1875-1901年
第7章 終わりなき倫理の議論――アメリカの個人主義と健康保菌者の問題 1906年
第8章 子どもたちはだいじょうぶではない――1918年のインフルエンザ・パンデミック並みの病気が子どもたちを襲ったら 1918年
第9章 疫病は差別をしない――いかにして性感染症が特権階級のはったりを暴いたか(そして新型コロナウイルスがわたしたちのはったりを暴くか) 1885年&1985年
第10章 『ホット・ゾーン』の罪――いかにしてひとりの作家がエボラ出血熱の恐怖をあおるキャンペーンを始め、それが今もパンデミックの封じ込めを妨げているか 1994年
終章 新型コロナウイルス感染症のもっとも暗い見通し(と流れを変える方法)

訳者あとがき

文献
索引

書評情報

都甲幸治
(早稲田大学教授)
「共感と受容、団結のチャンス」
日本経済新聞 2022年10月22日