みすず書房

全体主義のなかで考え続けたハンナ・アーレント。長期にわたって難民・無国籍者として生活し、全体主義がもたらした地上の地獄を同時代人として経験した。
想像を絶する人類に対する犯罪を生み出した体制の本質を、アーレントは現実に負けない仕方で理解しようとした。戦争が終わったあとも続く全体主義の余波、それが壊したもの、世界との関係、それでも世界を愛することは可能か。
いまアーレントから世界を見たら、何が見えてくるだろうか。「生きた屍」「難民になること」「世界喪失」「人と人のあいだに生きること」「政治と自由」「理解すること」「共に何かを行なうこと」というアーレントの言葉を道しるべに、一方で全体主義について、他方で人間の自由の条件について考え抜いた、アーレントの思考の現場を洞察する。混迷を深める世界を生きるための思想。

目次

はじめに
第一章 生きた屍
第二章 難民について
第三章 世界喪失に抗って
第四章 自由について
第五章 理解という営み
第六章 世界を愛するということ
第七章 ベンヤミン・エッセイをめぐって
第八章 反逆する心という遺産
第九章 「あいだ」にあるということ
第十章 ローザの従姉妹
第十一章 秩序の感覚


あとがき

 

書評情報

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