解離【新装版】
若年期における病理と治療
DISSOCIATION IN CHILDREN AND ADOLESCENTS

| 判型 | A5判 | 
|---|---|
| 頁数 | 556頁 | 
| 定価 | 10,780円 (本体:9,800円) | 
| ISBN | 978-4-622-09686-3 | 
| Cコード | C3047 | 
| 発行日 | 2024年2月15日 | 

DISSOCIATION IN CHILDREN AND ADOLESCENTS

| 判型 | A5判 | 
|---|---|
| 頁数 | 556頁 | 
| 定価 | 10,780円 (本体:9,800円) | 
| ISBN | 978-4-622-09686-3 | 
| Cコード | C3047 | 
| 発行日 | 2024年2月15日 | 

〈「解離」は1990年代以来、精神医学のもっとも白熱したテーマである。実際、精神科臨床の緊急問題であって、それは特に米国においてであるが、わが国において児童虐待、性的虐待、PTSDに関連して無視できない重要な臨床的問題となってきた。犯罪関連でも今後大きな問題となる可能性がある。しかも、解離は本書にあるとおり、診断も治療も非常に困難であって、現代精神医学に対する最大の挑戦の一つとなっている〉
 (「訳者あとがき」より)
 
 本書は、「解離」を包括的に描いたはじめての書である。副題に「若年期における病理と治療」とあるが、これは主題の限定を意味するのではなく、解離性障害の多くが児童/青年期に受けた虐待や非道処遇と密接に関連しているからである。なかでも解離性同一性障害ともいわれる多重人格性障害では、その傾向が著しい。
 著者は、長年の研究から、一見奇怪な解離性症状、たとえば複数の交代人格の出現なども、同一性の確立と基本的発達過程の挫折ととらえ、発達論的見地から病的解離を理解しようとする。正常な解離と病的解離のちがいや解離性障害の診断から、どのような治療を、特に発達途上の児童/青年に行なうべきかまで、現在のアメリカの研究を総動員した本書は、医師・専門家や被害者・関係者にとって不可欠の書となろう。児童虐待のニュースが毎日のように伝えられる一方、多重人格性障害についての誤った情報も夥しいこの国で、本書刊行の意義はきわめて大きいと考える。
 
 [初版2001年7月19日発行]
第1章 序説
 1 解離性障害の歴史的展望
 2 児童/青年期の解離性障害
 3 解離を定義する
 4 発達論的精神病理学——その概念枠
 5 本書の概観
 
 第2章 児童期心的外傷と非道処遇の本性と効果
 1 児童期外傷とその後遺症の理解の進歩略史
 2 非道処遇以外の児童期外傷の出所について
 3 児童の非道処遇
 4 非道処遇‐外傷受傷児童/青年の症状と行動
 
 第3章 非道処遇の転帰への影響因子と共通主題
 1 非道処遇の長期効果に影響する因子
 2 児童期非道処遇に関連する成人DSM診断障害——共通主題
 
 第4章 解離序説
 1 解離の心理測定
 2 解離と心的外傷との連合
 3 解離の類型学的モデル対連続体モデル
 4 圧倒的な心的外傷に対する防衛反応としての解離
 
 第5章 病的解離
 1 いつ解離が病的となるのか
 2 解離症状
 3 DSM解離性障害
 
 第6章 外傷・解離・記憶
 1 記憶の手短かな展望
 2 外傷と記憶
 3 記憶の解離性擾乱
 4 偽記憶
 
 第7章 病的解離のモデルをめざして
 1 外傷と解離の精神生物学
 2 多重人格性障害の伝統的モデル
 
 第8章 「離散的行動状態」モデル
 1 精神状態を種々の分析水準において定義し概念化する
 2 乳児の行動状態と状態依存的刺激反応性
 3 行動状態空間と状態移行(切り替わり——スイッチング)
 4 行動状態と関連した発達課題
 5 親子間の行動状態の相互作用
 6 行動状態の発達に対する非道処遇の影響
 7 離散的行動状態モデルを中核的解離現象に適用する
 8 非線型動力学と離散的行動状態モデル
 
 第9章 解離の発達的基盤
 1 解離能力を左右する因子——研究所見
 2 解離能力を左右する因子——離散的行動状態モデルにもとづく予想
 3 正常発達過程の解離との関係の研究
 
 第10章 日常生活における解離と変成状態
 1 変成意識状態のすべてが解離性であるか?
 2 宗教
 3 薬物による変成意識状態
 4 テレビ視聴
 5 セックスとスポーツ
 
 第11章 解離症例提示——症例素描
 1 遁走(フューグ)
 2 精巧な病的同一性
 3 児童の持続的多重人格性障害
 4 多重人格性障害の青年期結晶化例
 5 多重人格性障害と誤診されたナルコレプシー症例
 
 第12章 臨床的現象学と診断
 1 小児科学的解離性障害への現象学的接近
 2 診断法
 3 若年者における病的解離のスクリーニング法と面接
 
 第13章 治療の哲学と原則
 1 児童のニーズに応える
 2 児童の自然回復力を支える
 3 大きさ、時間、力——児童からの見え方を理解する
 4 児童の安全を確保する
 5 児童の論理的拘束と言語的困難を理解する
 6 介入の顕在法と陰伏法
 7 治療空間を創造する
 
 第14章 個人治療
 1 治療結果
 2 治療同盟問題
 3 治療過程の問題点
 4 解離症状と行動の問題点と介入法
 5 遊戯療法
 
 第15章 解離性家族と家庭外居住
 1 解離性家族
 2 里親・養親家庭
 3 グループ・ホーム、居住施設、入院
 
 第16章 精神薬理学
 1 小児科的精神活性薬の使用ガイドラインと勧告
 2 外傷後および解離性障害における標的症状
 3 薬物の種類
 
 まとめ
 
 訳者あとがき
 付録1/付録2/付録3
 引用文献
 索引