みすず書房

恐怖と自由

ジュディス・シュクラーのリベラリズム論と21世紀の民主制

FURCHT UND FREIHEIT

Für einen anderen Liberalismus

判型 四六判
頁数 200頁
定価 4,180円 (本体:3,800円)
ISBN 978-4-622-09735-8
Cコード C1010
発行日 2024年11月1日
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恐怖と自由

これほど多くの人がリベラルを攻撃したがるのはなぜだろう。その攻撃に正当性はあるのだろうか。リベラリズムを打ちのめして生まれる非リベラルな社会は、リベラルな民主制社会より良くなるのだろうか。それは誰にとって、どう良くなるのだろう。執拗な攻撃を受けてリベラルは自己批判を始めたが、それが実を結んでいないのはなぜだろう。――こうした問いにどう答えるかは、リベラリズムをどうとらえるかによる。そこで本書が指針にするのはジュディス・シュクラーである。
シュクラーは20世紀の最も重要な政治思想家のひとりであり、本書はその著名な論文「恐怖のリベラリズム」に依拠している。これは、身体的・精神的な残虐さの恐怖に人びとをさらす権力を注視し、そうした恐怖の低減をリベラリズムの礎に置く思想である。一見とても平凡に見えるこの思想がリベラリズムの真価をよく示しているということを、本書は21世紀の今の状況に即してリアルに語っている。
「リベラリズムは時代遅れなのか。廃れるべきは、偽りの方程式、偽りの対立、さらに誤った一般化を扱うリベラリズムについての議論である」。
巻末には「恐怖のリベラリズム」の全訳を併録した。

目次

出発地――自己満足と自虐の狭間から
第1章 これは一方通行路なのか?
第2章 むち打ち症をわずらう
第3章 シュクラーの地図を見る
第4章 新しいルートを検索する
到着地、ただし目的地ではない

謝辞

「恐怖のリベラリズム」 ジュディス・シュクラー

訳者あとがき
原注

快調に車を運転していたリベラルがピンチに陥る。向こうから逆走車がどんどんやってくるのだ――?

編集者からひとこと(WEBみすずサイト「新刊紹介」)

交通事故になぞらえて構成、真剣かつ辛辣に主張。いい加減なリベラル攻撃はもう終わりにするべきだと。担当編集者が本書を紹介します。

書評情報

大宮勘一郎
(東京大学教授・ドイツ近現代文学・思想)
週刊読書人「2024年の収穫」2024年12月13日号
水島治郎
(千葉大学教授)
「リベラリズムの根源を今に」
日本経済新聞 2025年1月18日
古田拓也
(二松学舎大学国際政治経済学部専任講師)
「恐怖の自由民主主義のために――政治理論家ミュラーの反ポピュリズム闘争の一幕」
図書新聞 2025年2月22日(3676)号