みすず書房

■A5判上製カバー装

『バナナと日本人』『ナマコの眼』を始めとする著作で、アジア・太平洋諸地域に暮らす人びとへの豊かなまなざしを注ぎ、ゆるやかに〈歩くひと〉として旅し続けたひと、鶴見良行(1926-94)。その半世紀に及ぶ活動を集大成し、アジアと日本の行方を根底から問うラディカルな思考の軌跡を丸ごと収めた、待望の著作集、ついに完成!
編集=鶴見俊輔・中村尚司・花崎皋平・村井吉敬・吉川勇一

  • 各巻末に詳細な解説を収録。本著作集編集委員を中心に、著作の作業を知悉する指揮者の執筆により、鶴見良行の思想的鋭意の軌跡を浮き彫りにする
  • 読者の検索のため、各巻末に索引を収める
  • 月報には同時代人や気鋭の書き手の、著者をめぐるエッセイを収め、また当時の書評も併催して、時代と向き合い続けた著者の肖像を明らかにする
  • 著者の中心的著作のデザインを手がけた中島かほる氏による装丁・本文レイアウトを含め、瀟洒な愛蔵にたえる造本

鶴見良行(つるみ・よしゆき)

1926年、アメリカ合州国カリフォルニア州ロスアンゼルス生まれ。外交官の父の仕事にともない、少年時代、ワシントン、ポートランド、ハルピンなどで在外生活経験を重ねる。水戸高校を経て東京大学法学部を卒業。55年より財団法人・国際文化会館に勤務(-86年)、その傍ら「思想の科学」誌他への執筆活動を始める。65年「ベトナムに平和を!市民連合」(ベ平連)発足に関わり、前後して頻繁なアジア行、研究を深める。73年「アジア太平洋資料センター」(PARC)設立メンバーの一人となり、80年から81年にかけて『アジア人と日本人』『アジアを知るために』『マラッカ物語』の連続刊行を通し、独自なアプローチによるアジア探究者として、旺盛な研究活動を本格化させた。82年『バナナと日本人』、90年『ナマコの眼』などの代表作によって、世に〈稀有な旅人であり自由奔放な知識人〉としての「鶴見良行」スタイルを、鮮烈に刻み付けた。89年より龍谷大学経済学部教授。94年、『ココス島奇譚』執筆中に京都の自宅にて急逝。