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谷川晃一『草色のギャラリー』
[8月3日刊]/個展「伊豆高原造船所」 紀伊國屋画廊にて
「私が文章を書く動機は、その対象が好きだという情動から始まる」と、著者は言う。好みから発した作家への思索は、やがて無二のポルトレ(スケッチ風小文)という形象となった。著者が愛好するさまざまな作品から作者の気質や思想までを語り味わう待望の美術エッセイ集である。
「風の画布」(外国の作家)、「交流の歳月」(日本の作家)、「フォークアートの森」(民俗画・プリミティブアート)、「午後の手帖」(アート雑感)の四部構成で43篇を収録する。カラー口絵4頁(作品図版8点)、本文中モノクロ写真33点掲載。
ピカソ、ゾンネンシュターン、サヴィニャック、フンデルトワッサー、フォス、ヤンセン、シャーン、ホックニー、コクトー、ゴーギャン、中西夏之、加納光於、タイガー立石、浅井愼平、澁澤龍彦、巖谷國士、春日井建、田島征三、山本容子、長新太、三岸好太郎ほかの作品世界を語る。
谷川晃一氏は、1938年東京生まれで、日本のポップアートを推進してきた画家である。1968年より美術批評も行なってきた。近年は絵本の制作も多く、注目されている――『かずあそび ウラパン・オコサ』(童心社1999年刊、2000年に第5回[日本絵本賞]受賞)。
本書は15年ぶりの、存在感あふれる美術随筆集である。対象である作品や作者への柔らかい眼差しやエスプリ、それらが相まって温かい質感を持つ本となっている。
■紀伊國屋画廊にて個展 谷川晃一「伊豆高原造船所」開催[終了しました]
東京・新宿東口の紀伊國屋書店新宿本店4階にある紀伊國屋画廊にて、2010年7月29日(木)から8月10日(火)まで、谷川晃一の個展「伊豆高原造船所」が開かれます。
画家・谷川晃一のスタジオのある伊豆高原は、海辺にある森の町。船をモチーフにした絵のシリーズが今年生まれました。船は、野鳥や小動物など有機生命体とは異なる人工的造型物ですが、画家の「内的イメージ」の船は、魚や鳥と同様の有機生命体だといいます。そのシンボルとして船体には丸い顔があります……
会期中は無休、10:00から18:30までの開催です。