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1995年1月・神戸<品切>

中井久夫
土居健郎
田代信維


(東日本大震災の直後、本書をもとにして、編者・中井久夫の文章を再編集し、『災害がほんとうに襲った時』を2011年4月20日に刊行いたしました。『災害がほんとうに襲った時』は、電子書籍もございます)

家屋の倒壊、近親者の死、長びく避難所生活… 阪神大震災は被災者たちに計り知れない心の傷を負わせている。「なにかやらなくては」――みずからも被災者である神戸在住の精神科医とナースがまず立ち上がった。つぎに全国から駆けつけた医療ボランティアたちが。彼らが疲れてくると、さらには援助者を支える援助者もやってきた……。
1995年1月17日から一ヵ月。被災地では何が起こり、何が必要だったのか。『みすず』1995年2月号に掲載した中井久夫「災害がほんとうに襲った時」をはじめ、現場で活躍した39名の文章をここに編んだ。大都市での災害の症例であり、極限状況での人間の心理とそこでの精神科医の役割をみごとに描いた、類例のない文集である。写真や地図、有効だったニュースやメンタル・ケアのためのマニュアルなどの資料も併載。「心的外傷後ストレス症候群」への対応など、今すぐにでも役にたつ書であるとともに、紛れもない内部からの真実の記録として、歴史にとどめておきたい。

カバー写真:
兵庫区の歩道に出ていた小さな店を通りかかった時、一人の少年が「ね、たべて行ってよ、おねがいだから」と手を合わせた。いったん行きすぎた私たちが戻ると、黄色い帽子のオジサンが「無理をいったらだめだよ」といった。私は「きみがあんまりかわいいから」といい、ビール(300円)とオデン(250円)を注文した。オジサンは同行の二人の女性に缶コーヒーを出し、決して金を受け取らなかった。ポラロイドを一枚ずつ渡すと少年は喜んでとびはね、だんだん像がみえてくるのに新鮮な驚きを示した。一家かと思った人々は、一組のきょうだいと一組のもとの職場仲間から成り立っていた。少年は「どこかこの辺りの子」であった。つまり彼はこの店のボランティアであった。

カバー裏写真:
半ば火にあぶられたオリーヴの木。水分をしたたかに含んだこの一本のオリーヴが、火元の病院から風下の家を守った。「この木のおかげで私の家は焼けなかったのですよ」と狭い小路からおばさんが出てきて言った。この病院の47名の患者と院長の母堂とは、当直医1名ナース2名他1名より成る職員の努力で、全員救出された。


目次


震災下の精神科救急――刊行に寄せて  土居健郎
阪神大震災・神戸大精神科を応援して――九大精神科の場合  田代信維

I
災害がほんとうに襲った時  中井久夫
  付・1995年2月24日からみて/私の日程表/私の急性ストレス症候群
   *
被災地のカルテ  安克昌
心的外傷反応に対処する――心理教育的アプローチの試み  P・アンダーウッド
震災私記――非日常と日常とをつなぐもの  生村吾郎
震災後の清明寮にて  白川治
阪神大震災における看護部の対応――特にメンタルヘルス・ケアの観点から  新道幸恵
災害時の院長日記  山口直彦
   *
それぞれの場所で  (写真と文)中井久夫

II
「大切な贈り物」  阿瀬川孝治
災害地の精神科医――阪神大震災被災地での経験から  岩井圭司
災害の内と外  梅末正裕
現場に必要なもの――「精神保健センターニュース」を発行して  小川恵
わが神戸ボランティア記  加賀乙彦
神戸大学病院 1月17日午前  九鬼克俊
被災と抱え  小林俊三
こどもさんが心配な方々に A  塩山晃彦
神戸をあとにして  白尾一正
最初の三日間  杉林稔
こどもさんが心配な方々に B  関渉
神戸にて春を待つ  高谷育男
私の震災体験――石垣島から神戸へ  田中究
語り継ぐというボランティアの役割  富田伸
風景が変わった神戸  中村純
九州大精神科からのボランティア医師派遣第一陣の経験――1月26日-1月31日  福田明
一ヵ月がたって  藤井照子
避難所で体験したこと  藤城聡
精神科研修医として経験した災害時一般救急  保坂卓昭
阪神大震災のボランティア体験  星野弘
木が人間を守ってくれた  細見ゆきよ
阪神大震災をかいま見て  前田久雄
中井先生が大変だっ‼  松尾正
阪神大震災日記――長田保健所で診療を始めるまで  宮撝隆吉
避難所でのメンタルケア・サービスを体験して  宮原明夫
阪神大震災のボランティアに参加して  村崎修
神戸市中央保健所の精神科救護所の活動  森井俊次
五日間の滞在から  横尾博志
天災――神戸に向かってから  横田謙次郎
医局にとどまりながら  吉村典子
阪神大震災・報告レポート  李圭博・鈴木英世

神戸大学医学部付属病院関係者一覧
支援医師団一覧
参考文献
あとがき
資料篇
  1 精神科救護所情報(1月27日)
  2 精神科連絡網と現状報告(1月17日-1月28日)
  3 神戸市内のルート情報(1月24日)
  4 震災後のストレス相談センターに関するボランティア募集(2月3日)
  5 中央区内の避難所報告(2月3日)
  6 兵庫県立精神保健センターニュース(2月8日)
  7 精神科救護班の派遣について(2月10日)
  8 淡路島の精神科NGOネットワーク
  9 神戸へのルート情報(2月13日)
  10 子どもたちの心の119番
  11 子供のためのPTSDのマニュアルの作成についてのお願い
  12 夜間対応・往診(精神保健センター)フローチャート


著訳者略歴

中井久夫
なかい・ひさお

(神戸大学精神神経科)

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
土居健郎
どい・たけお

(聖路加国際病院)

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
田代信維
たしろ・のぶただ

(九州大学医学部神経精神科医学教室)

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「1995年1月・神戸」の画像:

1995年1月・神戸

「1995年1月・神戸」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/0頁
定価 1,650円(本体1,500円)
ISBN 4-622-03797-1 C0036
1995年3月24日発行
<ただいま品切です>