みすず書房

吉屋信子 父の果/未知の月日

大人の本棚

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 296頁
定価 2,640円 (本体:2,400円)
ISBN 978-4-622-04836-7
Cコード C1393
発行日 2003年2月 5日
備考 現在品切
オンラインで購入
吉屋信子 父の果/未知の月日

吉屋信子といえば、おおかたの人は、『夫の貞操』や『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』あるいは少女小説『花物語』などの作品を思い起こすだろう。たしかに彼女はこうした長篇小説によって、広範な読者層を獲得した人気作家であった。とりわけ女性のファンが多かった。

しかし彼女は昭和20年代から30年代にかけて、多くのすぐれた中・短篇小説を書いている。なかでも第4回女流文学者会賞を受賞した「鬼火」は戦後の荒廃した風景を典型的に描いた傑作と言えよう。ほかにも、「後家サロン」や「蕃社の落日」「マカオの落日」など、記憶すべき佳作を残している。

本書は、そうした戦後の時代・世相を描いた短篇とエッセー21篇を収めたアンソロジーである。夢に見れば死もなつかしや冬木風——極貧のうちに27歳の生涯を閉じた俳人・富田木歩の伝記、さらに徳田秋声や樋口一葉など、印象的なポルトレを味読されたい。

目次

みおつくし
立志伝
鬼火
父の果
凍蝶
後家サロン
蕃社の落日
マカオの露台
墨堤に消ゆ〈富田木歩〉
   *
絵島の墓
未知の月日
日記買う
本郷森川町
春の喪服

さかな
馬と私
廿一年前

白ハンカチ
樋口一葉女史の墓

解説(吉川豊子)