みすず書房

「ハインリヒ・ハイネが到達した結論によると、ユダヤ人にとっての〈ヨーロッパへの入場券〉はキリスト教受洗である。今日、ヨーロッパ人であることの端的な証明は洗礼ではない。それは絶滅である。〈ホロコースト〉を認めることが、われわれの現代ヨーロッパへの入場券である」。著者はこの大著のエピローグ「死者の家から」で、今後のヨーロッパ人の条件を、こう述べている。
1945年から71年までを扱った上巻を継いで、下巻(1971-2005)では、繁栄の60年代が終わったあとの停滞と失意の時代から筆を起こし、新たな現実主義と連合への道を歩む西欧と、ソ連崩壊の後で分裂に向かう東欧、たび重なる民族と国家をめぐる戦争、グローバリズム、EU結成まで、多様なヨーロッパの生き方を描く。事実とその意味を百科事典的ともいえる具体性で描写しながら、かつ世界全体との関係も説得的に表現し、政治経済・文化芸術・市民の欲望までのうねりを縦横に提示した、歴史学の達成。

目次

第3部 景気後退期・1971-1989年
XIV しぼみゆく期待
XV 政治の新基調
XVI 移行の時
XVII 新たな現実主義
XVIII 権力なき者の力
XIX 旧秩序の終焉

第4部 崩壊の後で・1989-2005年
XX 分裂に向かう大陸
XXI 清算
XXII 古いヨーロッパ——そして新しいヨーロッパ
XXIII ヨーロッパの多様性
XXIV 生き方としてのヨーロッパ

エピローグ 死者の家から——近代ヨーロッパの記憶についての小論

索引

営業部より

姜尚中氏が東京国際ブックフェア2009の基調講演で、「歴史に対しての英知が刻み込まれている。現代的な古典とはこういうものだ」と、本書を絶賛されました。

書評情報

岩間陽子(政策研究大学院大学准教授)
読売新聞2008年11月2日
吉田徹(北海道大学准教授)
日経新聞2008年9月14日
姜尚中(政治学者)
日本経済新聞2009年7月5日(日)
日刊ゲンダイ
2009年9月1日(火)
姜尚中
編集会議(別冊)2010年11月号
出口治明
週刊東洋経済2011年11月26日号
出口治明(ライフネット生命保険社長)
エコノミスト2012年9月11日号

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