ある徴兵拒否者の歩み
トルストイに導かれて
判型 | 四六判 |
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頁数 | 216頁 |
定価 | 2,860円 (本体:2,600円) |
ISBN | 978-4-622-07483-0 |
Cコード | C0095 |
発行日 | 2009年8月21日 |
備考 | 現在品切 |
判型 | 四六判 |
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頁数 | 216頁 |
定価 | 2,860円 (本体:2,600円) |
ISBN | 978-4-622-07483-0 |
Cコード | C0095 |
発行日 | 2009年8月21日 |
備考 | 現在品切 |
『アンナ・カレーニナ』『イワンの馬鹿』などにおける生き生きとした訳文で多くの読書人に愛されたトルストイ翻訳家の北御門二郎(1913-2004)は、極刑を覚悟のうえ徴兵拒否を行なった気骨の人でもあった。
熊本のギリシャ正教の家庭に育ち、トルストイに魂を震撼させられ、ロシア語の習得を立志した少年時代。日本軍の残虐行為への痛憤から徴兵拒否を敢然と行ない、“公然反逆者”として戦渦を見つめ続けた青年時代。故郷で帰農したのち、「誰よりもトルストイの気持がわかる」という矜持からロシア文学の大家に論争を挑み、訳業の道を択んだ壮年時代。そして、日本国憲法の精神をないがしろにする政治家の言動に心を痛め、“殺しあわない世界”の実現を希求し続けた老年時代——。その激越な半生は、トルストイに導かれての真率かつ崇高な歩みでもあった。
「トルストイは私にとってまさに光だった。そして私にとっての光は、同時に万人にとっての光であることを信ぜざるを得なかった。だから私は、その光についての証言がしたかったのである」(はじめに)
トルストイに終生向き合い、その思想を理解し実践することに身命を捧げた北御門の生涯もまた、後に続くわれわれに針路を示す“光”となるであろう。
若い人たちへ
はじめに
戦前・戦中篇 1930-1945
トルストイとの出会い
トルストイに導かれた読書の世界
軍国主義への怒りと嘆き
わが戦争との戦争
狼たちの愚行を見つめて
公然たる批判と理解者たち
敗戦前夜の闇の中で
戦後篇 1945-1983
憲法に思い邪なかるべし
原卓也氏との「誤訳論争」のこと
豊かなる実りの日日に
軍拡の道、訳業の道
戦争、暴力、そして信仰
反戦と非暴力の泉に汲む