みすず書房

ポスト・クライン派の精神分析

クライン、ビオン、メルツァーにおける真実と美の問題

POSTKLEINIAN PSYCHOANALYSIS

判型 A5判
頁数 192頁
定価 3,960円 (本体:3,600円)
ISBN 978-4-622-07755-8
Cコード C3011
発行日 2013年4月16日
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ポスト・クライン派の精神分析

フロイトの精神分析に新たな変革を加えたメラニー・クライン以来、クライン派は、内的対象関係という視点から人間理解を深めてきた。クラインの「良い乳房/悪い乳房」「抑うつポジション」「妄想‐分裂ポジション」、ビオンの「考える能力」「LHK」といった代表的概念をへて、今日この学派が着目するのは、メルツァーが提起する「真実」と「美」の問題である。
本書は、メルツァーに精神分析の訓練を受け、タビストック・クリニックおよび英国精神分析協会で教育活動に携わってきたケネス・サンダースが、精神分析過程や夢を素材に、精神分析の今日的概念がいかに患者への理解と洞察を深めるものとなりうるか、を解説するセミナー形式の一冊である。
症状の解釈をこえて、「真実」と「美」は、文学や絵画など芸術作品における本質的主題であることは言うまでもない。本書は、この「永遠の哲学」を探求する精神分析的思考の実例集でもある。

目次

『ポスト・クライン派の精神分析』と「神なき神学」(平井正三)
謝辞
序文(ドナルド・メルツァー)
はじめに

第1章 プロローグとコンサルテーション
第2章 混乱から抜け出す青年
第3章 夢——脚本を書くのは誰か?
第4章 同一化と心のトイレット機能
第5章 人魚とセイレーンたち
第6章 結合部分対象——「ペニスを持った女性」から「乳首‐と‐乳房」へ
第7章 乳幼児観察と実践における結合部分対象
第8章 エディプス・コンプレックスと取り入れ同一化
第9章 精神身体病的疾患と身体精神病的疾患
第10章 エピローグ——閉所嗜癖と「永遠の哲学」

解説(中川慎一郎)
監訳者あとがき
参考文献
索引

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