みすず書房

英語化する世界、世界化する英語

THE LANGUAGE WARS

判型 A5判
頁数 400頁
定価 6,820円 (本体:6,200円)
ISBN 978-4-622-07801-2
Cコード C1098
発行日 2014年4月25日
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英語化する世界、世界化する英語

21世紀、地球の共通語として不動の王座を得たかに見える英語。が、その英語は英語が母語でない人々の話すエイゴ、新しいデジタル・テクノロジーやカジュアル化してゆく生活の影響を受けて混ざり合い、姿を変えてゆく。綴りや句読点、文法の絶え間ない変化、語尾上げなどゆゆしき流行……英語はどうなっていくのだろう?
5世紀の誕生以来、「ちゃんとした」英語をつくり、それを固定化しようとする人々の論議は絶えなかったが、英語は彼らのはめようとする枷をするりと抜けだして、形を変えつつ世界にひろがり、生存の道を見つけてきた。あたかも生き物のように。
話され、文字に書かれて人の心へ届き、その思考や行動をも変えてゆく言葉の力。英語の豊かな歴史を縦横無尽にめぐり、その未来像をスリリングに描く異色の英語史。

目次

1 「大胆に進もう」
  英語にまつわる真実と神話
2 生存機械
  言語の力と英語への闘い
3 英語の出現
  チョーサー、カクストン、クランマー
4 エリザベス女王からジョン・ロックまで
  言葉の爛熟、正統性、そして意味の不確かさ
5 大当たり
  アカデミーについての議論
6 英語綴りという出来損ないの魔術
  「ほとんど信じられない」物語
7 よい英語の多くの利点
  文法の改革と十八世紀的正しい用法
8 「ラウス主教はおバカさん」
  規範主義者をいらいらさせる
9 おお、わたしのアメリカ、新しく見つけた土地よ!
  トマス・ペインから朝食のシリアルまで
10 リンドリー・マリーの長い影
  衒学趣味……と俗語の「現実的な美しさ」
11 国の由来
  言語、アイデンティティー、葛藤
12 フィッシュナイフとフィストファック
  ヴィクトリア朝英語の慎み深いカリスマ性
13 「われらが血、われらが言葉、われらが制度」
  純粋主義と無知なるがゆえの快適さ
14 ヴィクトリア時代の宝庫を作り上げる
  正しい語法の計画、大きいものから小さいものまで
15 英語の番人
  ヘンリー・ワトソン・ファウラーと現代英語活用法
16 「君が見えるように話しなさい」
  方言とアクセントについて
17 ちゃんと話す
  アクセントを聞けばどんな連中かがわかる
18 アルファベットと女神
  読み書き能力、ジェンダー、性差別主義的言葉
19 どうしようもない今の時代
  言葉の「現状」と向き合う
20 とんでもないくそ野郎
  検閲と卑猥さ
21 「ここでは英語だけです」
  問題ありのハイフン
22 コンマはパタパタと翼をはためかす
  句読点の過去、現在、未来
23 規則をみせびらかす
  なんというか、現代生活の意味深長な悩みの種に無関心にならないことについて?
24 テクノロジー曰く「まあ何でもいいけど」
  ネットに繋がったワイアード・ライフ……無線ランでワイアレス・ライフ……そして生活がなくなるライフ・レス?
25 「英語を征服して中国を強くしよう」
  英語の国際化
26 流れゆく自然界とどう向き合うか
  言葉と思考の形
27 楽しき日々
  政治、ジョージ・オーウェル、そして英語

謝辞

訳者あとがき
事項索引
人名・作品名索引

書評情報

小林章夫(上智大学教授)
北海道新聞2014年7月16日
浦田和幸(東京外国語大学)
沖縄タイムス2014年6月14日
浦田和幸
北國新聞2014年6月8日
浦田和幸
佐賀新聞2014年6月22日

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