みすず書房

時間かせぎの資本主義 電子書籍あり

いつまで危機を先送りできるか

GEKAUFTE ZEIT

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 320頁
定価 4,620円 (本体:4,200円)
ISBN 978-4-622-07926-2
Cコード C1033
発行日 2016年2月19日
電子書籍配信開始日 2018年3月 9日
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時間かせぎの資本主義

資本主義は自らの危機を「時間かせぎ」によって先送りしてきた。
70年代、高度成長の終わりとともに、成長を前提とした完全雇用と賃上げは危機を迎えていた。そこで各国はインフレによる時間かせぎ、つまり名目成長が実質成長を肩代わりすることで当面の危機を先送りした。
80年代、新自由主義が本格的に始動する。各国は規制緩和と民営化に乗り出した。国の負担は減り、資本の収益は上がる。双方にとって好都合だった。
だがそれは巨額の債務となって戻ってきた。債務解消のために増税や緊縮を行えば、景気後退につながりかねない。危機はリーマン・ショックでひとつの頂点を迎えた。
いま世界は、銀行危機、国家債務危機、実体経済危機という三重の危機の渦中にある。新たな時間かせぎの鍵を握るのは中央銀行だ。その影響をもっとも蒙ったのがユーロ圏である。ギリシャ危機で表面化したユーロ危機は、各国の格差を危険なまでに際立たせ、政治対立を呼び起こした。EUは、いま最大の危機を迎えている。
資本主義は危機の先送りの過程で、民主主義を解体していった。危機はいつまで先送りできるのか。民主主義が資本主義をコントロールすることは可能か。ヨーロッパとアメリカで大きな反響を呼び起こした、現代資本主義論。

目次

序章  危機理論——当時と現在

第一章 正当性危機から財政危機へ
新しいタイプの危機
危機理論が想定していなかった二つのこと
もう一つの正当性危機と戦後平和の終わり
時間をかけた転換——戦後資本主義から新自由主義へ
買われた時間

第二章 新自由主義的改革——租税国家から債務国家へ
民主主義の機能不全による財政危機?
新自由主義革命における資本主義と民主主義
補論 資本主義と民主主義
獣を飢えさせろ!
租税国家の危機
租税国家から債務国家へ
債務国家と分配
債務国家の政策
国際金融外交としての債務政策

第三章 財政再建国家の政策——ヨーロッパの新自由主義
統合と自由化
自由化マシーンとしてのEU
制度的転換——ケインズからハイエクへ
ヨーロッパの多層的統治体制としての財政再建国家
国家改造としての財政再建
成長——バック・トゥ・ザ・フューチャー
補論 地域振興政策について
ヨーロッパ財政再建国家の戦略能力
国際的財政再建国家内の抵抗

結語  次に来るものは何か?
次なるものは?
資本主義か、民主主義か
軽率な実験としてのユーロ
ユーロ諸国の民主主義?
通貨切り下げへのエール
ヨーロッパ版ブレトンウッズ体制にむけて
時間かせぎの資本主義

文献一覧
訳者解説  いつまで「時間」を買い続けられるか

書評情報

日本経済新聞(短評)
2016年4月10日(日)
伊東光晴
毎日新聞2016年4月17日(日)
水野和夫(法政大学教授)
エコノミスト2016年4月19日
福島清彦(経済学者)
公明新聞2016年4月25日(月)
竹田茂夫(法政大学教授)
東京新聞「本音のコラム」2016年5月19日(木)
吉田徹(北海道大学大学院法学研究科教授)
週刊ダイヤモンド2016年5月21日号
諸富徹(京都大学教授・経済学)
朝日新聞2016年5月22日(日)
河野龍太郎(BNPパリバ証券経済調査本部長)
週刊東洋経済2016年6月25日号
週刊ダイヤモンド「2016年「ベスト経済書」ランキング」第15位
井上光晴(京都大学名誉教授・経済学)
毎日新聞「2016年この3冊」2016年12月11日(日)
諸富徹(京都大学教授)
朝日新聞「2016年の収穫、心に残る本」2016年12月25日(日)
原真人(編集委員)
朝日新聞「波聞風問」(経済面)2017年11月21日(火)

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