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手話を生きる
少数言語が多数派日本語と出会うところで
- 著者
- 斉藤道雄
電子書籍もあります
手話という少数言語。手話が存在することによって、聞こえない子――ろう児は、ろう児として、そのままの自分で、聞こえる子とおなじように学び、遊び、よろこび、悲しみ、育つことができる。日本語と対等の力をもつ手話という言語があるから、聞こえないことは障害ではなく、むしろ少数派なのだといえる。
日本のろう者・ろう児の母語である「日本手話」で授業を行い、手話と日本語のバイリンガル/バイカルチュラルろう教育を実践する日本初にして唯一の学校、明晴学園。著者はジャーナリストとして前進であるフリースクールの立ち上げから関わり、のちには明晴学園の内側に身をおいて日本手話と日本語、ひろく言語の世界に思いを向けつづけてきた。
ろう教育の歴史、手話という言語が乗り越えてきた、そして今も向き合っている困難、言語学からみる手話、人工内耳など近年の最新動向……ろう者・ろう児とその親、教育者、日本手話の話者・通訳者、手話言語学の研究者など多方面へのインタビュー、欧米の事例や研究成果、国内外の文献、そして何より「手話を生きる」子どもたちのことばをとおして、過去から未来へ現在進行形で変わりつつある手話の世界を描く。
目次
二つの世界
1 手話が現れるとき
ろうがいい/朝の会/手話の学校/幸運な出会い/読売新聞紙上の論争/授業参観の日に/権威の衣/ミラノ会議/手話によるインプット/トータル・コミュニケーション/台頭するバイリンガル
2 自然言語としての手話
ストーキーの発見/自然言語に優劣はない/民間信仰から言語科学へ/二言語基底共有説/バンクーバー決議/ことばの里親/「ランゲージ」誌論文の波紋/人工内耳を生かす自然手話/バイモーダル・バイリンガル
3 ろう者の手話と聴者の手話
八潮「たんけん」/手話付きスピーチ/日本手話の発見/日本語対応手話の席巻/頭のなかの言語/変化の兆し/手話を生きる
4 手話の本来の姿
和光大学での論争/人権救済の申し立て/内からの否定/フリースクールへの胎動/龍の子学園/教育特区のもとで/よみがえる手話/伏流の文化言語モデル/ろう社会の混乱/先端の手話言語学/手話はローコンテキストか/ジョイスに手話を
5 手話言語の試練
サケのピリカ/感覚のポリティクス/日本語中心主義/二つの言語のはざまで/私たちは何をしたのか
あとがき
著訳者略歴
書評情報
- 中村桂子<2016年3月20日(日):毎日新聞>
- 稲泉連(ノンフィクションライター)
<2016年4月10日(日):読売新聞> - 竹田学(東京堂書店神田神保町店)
<2016年4月4日号:「AERA」> - 渡邊十絲子<2016年5月10日号:「婦人公論」>
- <2016年5月1日(日):日本経済新聞>
- 星野智幸<2016年5月1日(日):朝日新聞>
- 綾屋紗月(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員)
<2016年9月:「母の友」> - 蒲原順子(福岡大学非常勤講師)
<2016年9月号:「新英語教育」>
関連リンク
この本の関連書
「手話を生きる」の画像:

「手話を生きる」の書籍情報:
- 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/272頁
- 定価 2,808円(本体2,600円)
- ISBN 978-4-622-07974-3 C0037
- 2016年2月19日発行