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磁力と重力の発見 3

近代の始まり

著者
山本義隆

近代物理学成立の真のキーは力概念の確立にある。そこから〈遠隔力〉概念の形成過程を追跡してきた長い旅は、第3巻でようやく近代科学の誕生に立ち会う。

実験的研究と「地球は磁石である」という結論によって近代科学への道を開いたと高く評価されるギルバートは、一方、それゆえに地球は霊魂を有した生命的存在であるとも論じた。しかし、ルネサンスの魔術師デッラ・ポルタ(本書第2巻)に通じるその認識こそが、地球を不活性で不動の土塊と見るアリストテレス宇宙像を解体し、地動説の受容を促したのである。実験と観察の重視という方法もまた、スコラ学に対立する魔術・錬金術の系譜にある。他方、スコラにかわる新哲学として登場した機械論は、原因やメカニズムの解明を要求することで魔術の解体をはかったが、みずからは遠隔力の説明に失敗したのである。

霊魂論・物活論の色彩を色濃く帯びたケプラーや、錬金術に耽っていたニュートン。重力理論を作りあげていったのは彼らであり、近代以降に生き残ったのはケプラー、ニュートン、クーロンの法則である。魔術的な遠隔力は数学的法則に捉えられ、合理化された。壮大な前=科学史の終幕である。


目次


第十七章 ウィリアム・ギルバートの『磁石論』
1 ギルバートとその時代
2 『磁石論』の位置と概要
3 ギルバートと電気学の創設
4 電気力の「説明」
5 鉄と磁石と地球
6 磁気運動をめぐって
7 磁力の本質と球の形相
8 地球の運動と磁気哲学
9 磁石としての地球と霊魂

第十八章 磁気哲学とヨハネス・ケプラー
1 ケプラーの出発点
2 ケプラーによる天文学の改革
3 天体の動力学と運動霊
4 ギルバートの重力理論
5 ギルバートのケプラーへの影響
6 ケプラーの動力学
7 磁石としての天体
8 ケプラーの重力理論

第十九章 一七世紀機械論哲学と力
1 機械論の品質証明
2 ガリレイと重力
3 デカルトの力学と重力
4 デカルトの機械論と磁力
5 ワルター・チャールトン

第二十章 ロバート・ボイルとイギリスにおける機械論の変質
1 フランシス・ベーコン
2 トマス・ブラウン
3 ヘンリー・パワーと「実験哲学」
4 ロバート・ボイルの「粒子哲学」
5 機械論と「磁気発散気」
6 特殊的作用能力の容認

第二十一章 磁力と重力――フックとニュートン
1 ジョン・ウィルキンズと磁気哲学
2 ロバート・フックと機械論
3 フックと重力――機械論からの離反
4 重力と磁力の測定
5 フックと「世界の体系」
6 ニュートンと重力
7 魔術の神聖化
8 ニュートンと磁力

第二十二章 エピローグ――磁力法則の測定と確定
1 ミュッセンブルークとヘルシャムの測定
2 カランドリーニの測定
3 ジョン・ミッシェルと逆二乗法則
4 トビアス・マイヤーと渦動仮説の終焉
5 マイヤーの磁気研究の方法
6 マイヤーの理論――仮説・演繹過程
7 クーロンによる逆二乗法則の確定

あとがき


文献
索引


著訳者略歴

山本義隆
やまもと・よしたか

1941年大阪に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。同大学院博士課程中退。現在学校法人駿台予備学校勤務。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

英訳版、刊行

Yoshitaka Yamamoto, THE PULL OF HISTORY: Human Understanding of Magnetism and Gravity through the Ages (World Scientific, 2018).
http://www.worldscientific.com/worldscibooks/10.1142/10540
2018年2月刊行です。

編集者からひとこと

『磁力と重力の発見』では、古代ギリシャ・ローマにはじまり17世紀にいたる「科学革命前史」が解き明かされます。そのあとがきにはこう記されました。
〈本書を書く過程で、1500年代ルネサンスと言われている時期の西洋に「16世紀文化革命」ともいうべき知の世界の地殻変動があったのではないかということに思い当たった。 ...続きを読む »

書評情報

<週刊新潮「東大「全共闘」元議長が書き下ろした「大著」」 2003年6月19日号>
佐々木力<東京新聞 2003年6月22日(日)>
橋本克彦(ノンフィクション作家)
<日産フラッシュジャーナル 2003年6月23日(月)放送>
<河北新報「新刊抄」(ほか共同通信配信) 2003年6月29日(日)>
<京都新聞 2003年7月6日(日)>
山形浩生(評論家)
<朝日新聞 2003年7月20日(日)>
(抜粋) ≫
金森修<週刊読書人「上半期の収穫」 2003年7月25日(金)>
佐々木力<週刊読書人「上半期の収穫」 2003年7月25日(金)>
池内了<信濃毎日新聞 2003年7月27日(日)>
山形浩生<CUT「今月の一冊」 2003年7月号>
小松美彦<図書新聞「上半期読書アンケート」 2003年8月2日(土)>
林真理<図書新聞「上半期読書アンケート」 2003年8月2日(土)>
<SAPIO「夏休みに楽しむ「宇宙と科学」話題の本12冊」 2003年8月6日号>
レトロ・一太郎<BOUNDARY 2003年8月号>
池内了<bk1連載コラム「私の読書日記」第28回 2003年8月>
野家啓一(東北大学教授・哲学専攻)
<週刊読書人 2003年9月12日(金)>
(抜粋) ≫
伊藤隆太郎<Asahi Shimbun Weekly AERA 2003年9月15日号>
猪野修治(湘南科学史懇話会代表)
<科学・社会・人間 第86号(2003年9月)>
高橋源一郎<新潮「タイムマシンとしての小説」(保坂和志と対談) 2003年9月号>
浅羽雅晴(読売新聞編集員)
<読売新聞 2003年10月19日(日)>
河本英夫(東洋大学文学部哲学科)
<科学 2003年10月号>
(抜粋) ≫
田口善弘(中央大学理工学部/理工学研究所)
<数学セミナー「科学を読む(19)」 2003年10月号>
<毎日新聞「第57回毎日出版文化賞 受賞図書」 2003年11月3日(月)>
道浦母都子(歌人)
<朝日新聞(大阪)夕刊(東京11月29日(土)) 2003年11月8日(土)>
<下野新聞「在野の賞 本当にうれしい」(ほか共同通信配信) 2003年11月18日(火)>
<毎日新聞夕刊「受賞者 喜び語る 毎日出版文化賞贈呈式」 2003年12月4日(木)>
政+天<京都大学新聞 2003年12月16日(火)>
<朝日新聞夕刊「素粒子」 2003年12月18日(木)>
池内了<信濃毎日新聞「今年の1冊」 2003年12月28日(日)>
澤井繁男<羚Rei 第9号(2003年秋)>
最首悟(和光大学教員)
<図書新聞 2004年1月17日(土)>
後藤正治(ノンフィクション作家)
<読売新聞「評判記」 2004年1月18日(日)>
<日本経済新聞「春秋」 2004年1月21日(水)>
<朝日新聞「天声人語」 2004年1月25日(日)>
<朝日新聞「大佛次郎賞」 2004年1月29日(木)>
<東京新聞「この人」・北海道新聞「ひと」(ほか共同通信配信) 2004年1月30日(金)>
<朝日新聞「天声人語」 2004年1月30日(金)>
澤井繁男<中学教育 2004年1月号>
正高信男(認知科学者)
<読売新聞「評判記」 2004年2月1日(日)>
<Asahi Shimbun Weekly AERA 2004年2月2日号>
<日本経済新聞「文化往来」 2004年2月2日(月)>
<静岡新聞「人気です」 2004年2月8日(日)>
<京都新聞 2004年2月8日(日)>
竹内靖雄(成蹊大学教授)
<現代 2004年3月号>
山形浩生<diatxt(京都芸術センター) 第12号(2004年4月)>
竹内啓一<地理 2004年4月号>
河田聡(大阪大学教授/理化学研究所主任研究員)
<日経サイエンス「フレッシュマンのための読書ガイド」 2004年5月号>
<論座「第30回大佛次郎賞受賞記念講演 十六世紀文化革命」 2004年5月号>
池内了<文學界 特集「「磁力と重力の発見」はこう読む」 2004年6月号>
(抜粋) ≫
野家啓一<文學界 特集「「磁力と重力の発見」はこう読む」 2004年6月号>
中村薫(川崎市立川崎病院泌尿器科部長)
<臨床看護「ほんのひととき」 第30巻9号(2004年8月)>
大門亘<日本大学医学部一般教育研究紀要 第32号(2004年12月)>
肥沼茂夫<月刊天文 2004年12月号>
三中信宏(農業環境技術研究所 地球環境部)
<生物科学 2004年第55巻4号>
江沢洋<日本物理学会誌 2004年第59巻5号>
(抜粋) ≫
横山雅彦<科学史研究 第43号(2004年)>
<SUNDAI FRONTIER「誌上講演 磁力から万有引力の発見へと連なる先人たちの歩み」 2004年第1号>
長内芳子(元駿台予備学校英語科講師)
<駿台フォーラム 第22号>
川西勝美(駿台予備学校世界史科講師)
< >
最首悟(和光大学教授、駿台予備学校論文科講師)
< >
<月刊丸の内「丸の内流 速読2004年 文学賞受賞作品を読む」 2005年1月号>
坂井秀隆(東京大学大学院数理科学研究所)
<数学セミナー「本の散歩道(4)」 2005年7月号>
与謝野馨(自由民主党政務調査会長)
<文學界「私の読書遍歴(28)」 2005年10月>
内村直之<朝日新聞「素粒子の狩人(5)」 2009年4月10日(金)夕刊>
<朝日新聞「ゼロ年代の50冊〔初回〕」 2010年4月4日(日)>
近藤康太郎<朝日新聞「ゼロ年代の50冊〔第4回〕」 2010年4月25日(日)>

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磁力と重力の発見 3

「磁力と重力の発見 3」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/432頁
定価 3,240円(本体3,000円)
ISBN 4-622-08033-8 C1340
2003年5月22日発行

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