みすず書房

女の二十四時間

大人の本棚

ツヴァイク短篇選

VIERUNDZWANZIG STUNDEN AUS DEM LEBEN EINER FRAU UND ANDERE

判型 四六判
頁数 256頁
定価 3,080円 (本体:2,800円)
ISBN 978-4-622-08501-0
Cコード C1397
発行日 2012年6月20日
備考 現在品切
オンラインで購入
女の二十四時間

「長い生涯のなかのほんの一日。望遠鏡を逆にしてながめたように小さくクッキリと、心に封印してきた二十四時間が再現される。堅実な市民生活のなかの当人にも不可解な例外として描いてあるが、ツヴァイクの伝記小説に共通する特徴であって、歴史上の大きな出来事も、しばしば、当事者の〈意志と知恵〉とをこえたところで突発的に起こり、一夜にしてかかわった者たちの運命を大きく変えた。ツヴァイクはそれを〈デーモン(超自然的な力)〉と名づけ、デモーニッシュなものに翻弄される人間の変転を語りつづけた。/この二十四時間は一日を意味する単位ではないだろう……作家ツヴァイクの人気は、つましい夢を秘めた市民たちの告解僧の役割にもよっていた。秘密を共有して、重荷のにない方、処置のつけ方までもそっと耳打ちしてくれるのだ」
(池内紀・解説)
1904年頃か、リヴィエラのホテルにおける駆け落ち事件を契機にイギリスの貴婦人が過去の秘密を告白する、映画化もされた名篇「女の二十四時間」。他に、結末がブラック・ユーモアに満ちた「或る職業が思いがけなくわかった話」、いかにもツヴァイクらしい反戦メッセージをこめた「圧迫」を収録する。

目次

女の二十四時間
或る職業が思いがけなくわかった話
圧迫

解説  池内紀

書評情報

酒井順子(エッセイスト)
週刊文春「文春図書館」2012年8月4日号