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中井久夫集10 2007-2009

認知症に手さぐりで接近する

著者
中井久夫
解説
最相葉月

私は精神科医として四十何年かを過ごしてきましたが、患者とは、あるいは患者も含めて不幸な人とは、考え、考え、考え、考えている者だということを言ってもよいだろうと思います。幸福な人とは、明日も今日と同じであってもよいと思っている人のことだという定義を聞いたことがありますが、健康も幸福の一部です。健康な人とは明日も今日と同じであってよいと思っている人です。考えに迫られてはいないでしょう。
これに反して、認知症の方は、どうして簡単なことが思い出せないのか、言葉が出てこないのか、どうして、どうして、どうして、と考えつづけています。これからどうなってゆくのだろうとも。統合失調症の人も、どうしてこうなったのだろう、これからどうなるのだろうと考え、考え、考えています。ガン患者も同じく考えに考えをつづけています。たぶん、子どもの多くも、失恋も含めて不幸な人もです。なぜよりによって私にという理不尽さに、あそこでああしなかったら、こうはならなかったのに、奇跡的に治らないだろうかと。これが悪循環となって、考えが麻痺する人も、堂々巡りをくり返して固定観念になる人も、ストーカーのように自尊心を捨てて不毛な行動に出る人もあるでしょう。
(「認知症の人からみた世界を覗いてみる」2008)


目次


院内感染に対する患者自衛策試案
焔とこころ、炎と人類
昏睡からのサルヴェージ作業の試み
敗戦直後の山岳部北アルプス行き
ガンを持つ友人知人への私的助言
戦艦ミズーリと特攻機
建物は正面だけでよいか
河合隼雄先生の対談集に寄せて
SSM、通称丸山ワクチンについての私見
辞書からみた伝統と文化
心的外傷寸感
軽症ウイルス性脳炎について
国内外の精神医学の動向一端
認知症に手さぐりで接近する
認知症の人からみた世界を覗いてみる
伝記の読み方、愉しみ方
「生きた証」を求める
血液型性格学を問われて性格というものを考える
臨床引退後の日々
煙草との別れ、酒との別れ
株主優先でよいのか
安克昌先生と私
私が面接で心がけてきたこと――精神科臨床と臨床心理学をめぐる考察
現代医学はひとつか
難事に現れるリーダー
『ニイルス・リイネ』
ある団地の変化
遅発性心的外傷患者への絵画療法の試み

解説10 最相葉月
掲載文・書誌一覧


著訳者略歴

中井久夫
なかい・ひさお

1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。文化功労者(2013年度)。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
最相葉月
さいしょう・はづき

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「認知症に手さぐりで接近する」の画像:

認知症に手さぐりで接近する

「認知症に手さぐりで接近する」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/352頁
定価 3,960円(本体3,600円)
ISBN 978-4-622-08580-5 C0311
2019年4月10日発行

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