みすず書房

シリア獄中獄外

BIL-KAHLAS YA CHABAB!

判型 四六判
頁数 264頁
定価 3,960円 (本体:3,600円)
ISBN 978-4-622-08911-7
Cコード C0036
発行日 2020年6月16日
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シリア獄中獄外

「監獄経験を記すことは独裁政権によって引き裂かれることへの抵抗なのです。戦う相手は独裁であり、政治囚であり、また収監を強いる政治です。となれば監獄の物語や経験談をイデオロギーや神話から脱却させる必要があります。監獄が個性を消し去るのであれば、監獄について書くことは、その野蛮な腹を切り裂いて個々人の物語をひとつひとつ救いだすことです」

半世紀にわたって存続する「アサドのシリア」。国際的に支えられた独裁国家にあって監獄は「国民的経験」と化している。ハーフェズ政権下の1980年、反体制派組織に所属していたかどで拘束され、16年ものあいだ獄中につながれたアレッポ大学医学部生——今世紀に入って「ハヤート」「ナハ—ル」ほか汎アラブ紙上で論陣を張り、「アラブの春」以後はその発言が世界的に注目されるにいたったシリア人作家・ジャーナリストがみずからの監獄経験、出獄後の元政治囚の生活、獄外情勢をめぐって綴った政治的省察。

目次

日本語版によせて
基本的な事実関係

第1章 年月と場所の面持ち
第2章 パルミラへの道
第3章 監獄の生活と時間
第4章 シリアの元政治囚の世界
第5章 監獄への郷愁
第6章 ブルジョワ化した左派勢力の元政治囚
第7章 知識人の監獄でなく〈監獄の知識人〉
第8章 監獄で私は解放され、革命を経験した
第9章 収監と監獄への馴化
第10章 忘却の地、シリア
第11章 政治としてのパルミラ アサド帝国の秘密工場

アラビア語初版序文
フランス語版序文
アラビア語第二版序文
訳者解説

書評情報

日本経済新聞
2020年8月15日