みすず書房

史上最大の革命

1918年11月、ヴァイマル民主政の幕開け

Die größte aller Revolutionen

November 1918 und der Aufbruch in eine neue Zeit

判型 四六判
頁数 448頁
定価 5,060円 (本体:4,600円)
ISBN 978-4-622-08952-0
Cコード C0022
発行日 2020年11月16日
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史上最大の革命

ヴァイマル共和国は、先進的な議会と憲法をもちながらも、ナチ政権の到来により崩壊したことから、民主主義の失敗の象徴として注目されてきた。それは滅亡を運命づけられた民主政だったのか。
ヴァイマル共和国の成立に至る1918年の11月革命を、著者ゲルヴァルトは「史上最大の革命」と名付ける。これは当時の日刊紙の主筆T・ヴォルフの言葉で、君主政から民主政へと平和的に移行したことを称賛している。その後、ナチ政権は1918年11月を忌むべき犯罪の日として喧伝した。
著者はヴァイマル期を歴史の教訓という像から、より立体的なものにすることを試みる。当時の政治家、作家、極左と極右の運動家、一般の人々などの様々な立場からの証言、そして公文書、新聞雑誌、機関紙、日記などの膨大な資料から、革命前夜、ヴァイマル共和国の成立、それによる国家と社会の構造転換を一望する。
従来のように英仏からの視点ではなく、中東欧諸国との相互比較、第一次世界大戦後のヨーロッパ全体の体制変化などの広い視点から、これまで看過されてきたヴァイマル期の実像を明快に描き出し、現代史の死角に光を当てる。

目次

プロローグ 「麗しき夢のごとく」
第一章 1917年、革命の予感
第二章 勝利への希望
第三章 終盤戦
第四章 水兵の蜂起
第五章 油の染みのごとき革命
第六章 ベルリンでの決戦
第七章 西方での和平
第八章 帝国の名残
第九章 民主政の試練
第十章 急進化との戦い
第十一章 自由主義の凱歌
第十二章 1919年春の騒乱という内憂
第十三章 ヴェルサイユという外患
エピローグ したたかな民主政――1919-23年のドイツ

謝辞
訳者あとがき(小原淳)
写真出典
原註
主要参考文献
人名索引

 

書評情報

藤原辰史
(京都大学准教授・食農思想史)
朝日新聞 2021年1月16日